出産時に子どもに脳性まひが残った場合に、総額3千万円が支払われる「産科医療補償制度」をめぐり、旧基準の個別審査で対象外となった子どもたちが救済される方向になった。1200万円が支払われるが、家族らが求めてきた満額は実現しなかった。障害がある子どもの成長を社会として支える仕組みを求める声があがっている。
制度は2009年に始まった。満5歳の誕生日まで申請でき、09〜14年に生まれた場合は妊娠33週以上で2千グラム以上の赤ちゃん、15〜21年に生まれた場合は妊娠32週以上で1400グラム以上の赤ちゃんが対象。28週以上などの場合は、おなかにいたときに低酸素状態だったことなどを個別審査で認められる必要がある。
ただ、「同じような病態なのに対象と対象外がいて不公平感が生じている」などの課題が指摘され、22年に制度が改定された。同年1月以降に生まれた場合は、妊娠28週以上は体重に関係なく対象となり、個別審査は、「医療の進歩により医学的に矛盾している」として廃止された。
今回救済されるのは、09〜21年の個別審査を受け、補償の対象外となった子どもたちだ。
22年の改定後、個別審査の対象外となった家族から救済を求める声があがったが、「当時の医療水準では、出産に関連した脳性まひと判断することは難しかった」などの理由で、この子どもたちについては、さかのぼって補償することはしない、と判断された。
背景には、剰余金は20年5月末時点で約635億円あったが、民間保険を使った制度のため、国の裁量で使うことはできないという事情もあった。また、出産時に親に支給される出産育児一時金から充てられる掛け金が、09年当初の3万円から段階的に1万2千円まで引き下げられてきた経緯もあり、「満額を出せるほどの財政的な余裕はなくなった」(関係者)という。
政治決着が模索され、自民党は今年、剰余金の一部から1人あたり1200万円を給付する案を提示。25年1月から給付されることになった。対象外となった子どもは約570人おり、一定の条件を満たせば救済される。ただ、満額ではなく、複雑な思いを抱える親は少なくない。
引用元:
出産時の脳性まひ 1200万円の特別給付で政治決着、満額実現せず(朝日新聞デジタル)