双子や三つ子などの「多胎児」は、授乳や寝かしつけといった育児の負担が大きい。外出すら難しい母親は孤立しがちになり、不安を解消できずに追い込まれやすい。こうした家庭の子育てを助けようと、多胎育児の経験者による支援活動「ピアサポート」が各地で展開されている。(粂文野)

【グラフ】1日あたりの男女別の家事・育児時間

授乳が1日24回
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「常に手が足りず、座って一息つく時間もない」。岐阜県内で双子の男女の赤ちゃん(4か月)と、長女(3)を育てる母親(30)は、5月の出産以降の日々を振り返った。

 この母親は妊娠中、切迫早産で2か月近く入院した。体力が落ちたまま始まった育児は、1日に授乳が計24回、おむつ替えが計16回。双子が同時に泣いても、抱っこであやせるのは1人だけで、もう1人は泣きやまなかった。赤ちゃん返りした長女の世話にも追われ、絶え間なく続く育児に3日間眠れなかった。夫は仕事で不在がちで、遠方の実家は頼れなかった。

読売新聞社

 そんな母親を支えたのが岐阜県の支援事業だ。2020年から、多胎児を妊娠した全妊婦に、多胎育児の経験者を紹介している。

 県などによると、居住する市町村に妊娠を届け出る際、希望すれば、県の委託を受けたNPO法人「ぎふ多胎ネット」(岐阜県多治見市)が、所属する経験者を派遣する。「先輩ママ」が妊娠から育児まで寄り添うことになる。

 この母親は、隣の市に住む高松和美さん(41)が担当した。同法人の研修を受けた「ピアサポーター」で、長男(5)と男女の双子(4歳)を育てている。ピアとは英語で「仲間、同僚」を意味する。

 高松さんは、この母親の妊娠中からメールで入院準備や支援制度、双子の授乳方法などを教えた。産後は子どもが病気になると通院に付き添ったり、自宅を訪ねて育児を手伝い、母親を休ませたりした。「多胎ならではの困り事や孤独感を分かってもらえる」。多胎育児の経験者が親戚や知人にいなかった母親は、つらさを共有してくれる高松さんに助けられた。

 同法人は06年に発足。現在は経験者80人が活動し、保健師による乳児家庭全戸訪問にも同行する。三つ子の母で、同法人理事長の糸井川誠子さん(63)は「多胎育児は妊娠期から孤立しがち。家族だけでは立ちゆかないため、物心両面の支援が必要だ」と語る。

引用元:
1日に授乳24回、おむつ替え16回 多胎育児の負担をどう支援?…経験者がサポートする活動も(ヨミドクター)