中国中南大学のFen Tian氏らは、排卵を誘発する調節卵巣刺激法(controlled ovarian stimulation;COS)を利用した不妊治療を受けているカップルに対する新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染の影響を検討し、COS治療中に核酸検査が陰性だったカップルに比べると、どちらかが検査陽性になったカップルでは、良質な卵母細胞、胚、胚盤胞を得にくかったと報告した。結果は2023年7月13日のJAMA Network Open誌電子版に掲載された。

 SARS-CoV-2のヒト細胞への感染には、ウイルスのスパイク蛋白質がヒト細胞の表面に存在するACE2受容体に結合した後に、膜貫通型タンパク質分解酵素であるTMPRSS2で切断される必要がある。男女ともに生殖器系にはACE2とTMPRSS2が発現しているため、SARS-CoV-2感染に対して脆弱な可能性が考えられる。妊婦がSARS-CoV-2に感染すると、感染していない妊婦と比べて重症化する割合や早産などが多いことも報告されている。しかし、生殖補助医療(ART)を受けている不妊カップルがSARS-CoV-2に感染した場合の影響は明らかではなかった。

 そこで著者らは、COSを利用しているカップルのSARS-CoV-2感染が、卵母細胞と胚に及ぼす影響を検討するために、多施設後ろ向きコホート研究を計画した。対象は、2022年10月1日から2022年12月31日に、中国の4つの省にある生殖医療センター7施設で、COSを受け体外授精(IVF)または卵細胞質内精子注入法(ICSI)が実施された全てのカップルで、COS期間中にSARS-CoV-2核酸検査を受けている場合とした。卵母細胞を凍結保存中のカップルなどは除外した。検査結果から、男女ともに陽性またはどちらか1人が陽性だったカップルを陽性群とし、2人とも陰性だったカップルを陰性群に分類した。

引用元:
SARS-CoV-2感染は不妊治療に悪影響(日経メディカル)