子どもの「お手伝いしたい」という気持ちは尊重したいものの、余計な仕事が増えてしまうかも、と親はつい後ろ向きになってしまいますよね。

子どもにお手伝いをさせるメリット、そして親の負担を減らすコツを、モンテッソーリ育児アドバイザーの神成美輝さんに教えていただきました。

※ 本稿は、神成美輝著『モンテッソーリ流「才能がぐんぐん伸びる男の子」の育て方』(日本実業出版社)より、一部抜粋・編集したものです。

(著者)神成美輝(かんなり みき)
モンテッソーリ育児アドバイザー。保育士、幼稚園教諭2種。

(監修者)百枝 義雄(ももえだ よしお)
吉祥寺こどもの家園長。モンテッソーリ・ラ・パーチェ トレーニングコース代表。

家族の一員として活躍してもらう
「お手伝いをしたい」というのは、社会的行動を身につけるための敏感期のひとつです。ですから、私たち親は、子どもの「お手伝いをしたい」という気持ちを大切に育てていかなければなりません。

私たち親は皆、子どもの将来に期待をしています。しっかりと自立してほしい。社会に出て活躍してほしい。そう願っているものです。

そうであるならば、社会に出る前の家庭において、しっかりと家族の役に立ち、家族の一員として活躍をしていなければなりません。それが、社会に出るための訓練に もなるからです。小さい頃からのお手伝いが大切なのは、それが社会に出て働くための下地となるからです。

お手伝いがお手伝いにならないのは、当たり前
もちろん、最初のうちはお手伝いをしてもらうと、こちらの仕事が余計に増えてしまいます(笑)。「料理のお手伝い」をさせたら、材料を床にこぼす。「掃除のお手伝い」をさせたら、ゴミをよけいに撒き散らす。「洗濯のお手伝い」をさせたら、せっかく畳んだ洗濯物をぐちゃぐちゃにしてしまう……。そうなってしまうことがわかっているから、お手伝いをさせないというご家庭も多いのです。

しかし、「お手伝いをしたい」という気持ちを育む敏感期を過ぎてからでは、いくらできる年齢になったとしても、その気持ち自体を失ってしまいます。

小さい頃の「お手伝いをしたい」という気持ちに対して「ダメ」といい続けていると、子どもは「お手伝いはしなくていいことなのだ」と学んでしまうのです。

ですから、お子さんが大きくなって、親御さんが「さあ、そろそろお手伝いもいろいろできる頃。あれやって、これやって」といっても、「何で?」「ヤダ」「やりたくない」などといわれてしまうのです。それは、「お手伝いをしたい」と強烈に思った頃に、否定され続けたからに他なりません。

一番大切なのは、ちゃんとできるかという結果より、子どもの「お手伝いをしたい」という気持ちを汲んであげることです。そうすれば、お子さんは「お手伝いをすると楽しい」「お手伝いはするものだ」ということを体験として学べます。

「置き換えの法則」でお願いする
そうはいっても、お手伝いをしてもらったばかりに、毎回ママの仕事が増えるのは、大変です。そこで我が家では「置き換えの法則」を使っています。

先日も私が夕飯の支度をしている最中、次男が「床をふく」といい出しました。

雑巾は手元にないし、コンロから目が離せません。そこで、「床は汚いから、テーブルをふいてね」といって、近くにあった布巾を渡しました。息子はそれで満足し、テーブルをきれいにふいてくれました。

「洗濯物を干したい」という長男には、カゴから干すものを取ってもらいます。そうすると「お父さんのパンツ、お母さんの……」などといいながら、楽しそうに手渡してくれます。私も腰を曲げないですむだけ、ちょっとだけ楽ができます。

こんなふうに、「掃除機をかけたい」といったら、最後のほうだけお願いしたり、「洗濯物をたたむ」といったら、タオルだけお願いしたり工夫をしています。子どもの「お手伝いができた」という達成感を大切にするために、できることに置き換えてお願いしているのです。

最後は「ありがとう」を忘れずに
お話ししてきたように、小さい頃のお手伝いの目的は「手伝う気持ちを育むこと」です。ですから間違っても、結果に文句をいってはいけません。 

せっかくタオルをたたんでくれたのに、「こんなぐちゃぐちゃじゃダメよ」などといって、目の前でたたみ直したりしたら、子どもはやる気を失ってしまいます。たたみ直すなら、お子さんが寝た後で。できれば「タオルくらいぐちゃぐちゃでもいいか」といったおおらかな気持ちを持てるといいですね。 

そしてどんな結果になっても、必ず「ありがとう」と伝えてください。子どもはこの言葉が聞きたくて、がんばっているからです。

いつか本当に「お手伝い」になる日がくる
料理に興味のあるハルト君は、4歳の頃から卵料理のお手伝いをしていました。最初の頃は、卵を落として割ることも多く、お母さんは「もったいない」と思っていたそうです。しかし、だんだんと落とす回数も減っていきました。1年後には落とさないようにはなったものの、割った殻が混ざっていることも多く、それを取り除くのが面倒だったといいます。

しかし、6歳になる頃には、ひとりでスクランブルエッグがつくれるようになりました。お母さんが忙しい朝は、パパッと卵を割り、くるくるとかき混ぜ、塩胡椒をして、小さなフライパンで焼いているそうです。

このように最初はうまくできなくて、母親の手をわずらわせることが多かったお手伝いも、続けることでいつしかきちんとできるようになるものです。そして、このように本当に助けとなる「お手伝い」になる日がくるのです。

2年の辛抱はもちろん簡単ではありません。しかし、この先ずっと息子さんが料理を手伝ってくれるとしたら? それは十分に意味のある2年間ではないでしょうか。

お手伝いは自立への第一歩
お手伝いを通じて身につけた家事のスキルは、将来の自立への大きな一歩となります。先のハルト君のお母さんは「何より良かったと思えるのが、将来ひとり暮らしをしても、安心だということです。ちゃんと自分で料理をして食べてくれるのがわかるからです」と話してくれました。自立するということは、単に社会に出て働くことだけではありません。自分の生活を自分ひとりでやることも含まれています。 

「せっかく現役で第一志望の大学に合格したのに、ひとり暮らしを始めたら朝起きることができずに、留年した」などという、嘘みたいな話も耳にします。朝起こすことから始まって、身の回りのことすべての面倒を見続けていたら、そういうことが起こってもおかしくはありません。 

男の子には特にお手伝いをさせなくてもいいか、と思っているご家庭もあるかもしれませんが、お手伝いは社会的行動を身につける第一歩。男女に関係なく必要なものなのです。

神成美輝(モンテッソーリ育児アドバイザー)、百枝 義雄(吉祥寺こどもの家園長)

引用元:
子どもの「お手伝いしたい」は急成長のチャンス! 男の子がぐんぐん伸びる育て方のポイント(YAHOO!ニュース)