妊婦認知度「86%」
陣痛時に最優先でタクシーを手配できる「陣痛タクシー」(画像:日本交通)

陣痛時に最優先でタクシーを手配できる「陣痛タクシー」(画像:日本交通)
 日本交通(東京都千代田区)が、2012(平成24)年5月から都内で運行している「陣痛タクシー」。今では数々のタクシー会社も同様のサービスを行っており、利用できる地域も広がっている。

陣痛タクシーは「マタニティタクシー」とも呼ばれ、陣痛時に使えるタクシーだ。東京ハイヤー・タクシー協会の資料によると、「事前登録により24時間365日いざという時に病院へ向かうことが可能で、タクシーに乗車してからの道案内も不要」とあり、

「都内法人タクシー約3万1000台の約70%が対応可能。都内の妊婦の約7割が登録し、約4割が出産時に利用している」

という。

 また、前述の日本交通が2020年1月に行ったアンケート調査によると、「妊娠・出産の経験がある」と答えた女性3692人のうち、「86%」にあたる3171人が

「陣痛タクシーを知っている」

と回答。また、そのうちの1467人が「サービスに登録した」という結果もある。

 認知度と利用率が高い陣痛タクシーだが、実際どのようなサービス内容なのか、需要が増えている理由とともに追究していこう。

具体的なサービス内容
妊婦のイメージ画像(画像:写真AC)

妊婦のイメージ画像(画像:写真AC)
 陣痛がきた際、病院へ向かう移動手段として考えられるのは、

・バスや電車といった公共交通機関
・タクシー
・徒歩
・自身による運転
・家族や知人による運転

などだろう。しかし、公共交通機関や徒歩、自身による運転といった方法はリスクもともなうため、避けた方がいい。

 現実的なのは家族や知人による運転だが、周囲に誰もいないときに陣痛が始まる可能性も考えられる。周囲に家族がいた場合でも、車を持っていないケースもある。そうした場合、タクシーを手配したりレンタカーを借りたりするのは手間も時間もかかる。

 実際、インターネット上では

「深夜に起きた陣痛だったので、タクシーに何社も断られた」
「深夜、早朝の場合すぐに来てくれるか心配」

などの声が散見された。そんな心配や不安を解消し、安心安全に病院に送り届けてくれるシステムとして生まれたのが陣痛タクシーだ。

 具体的なサービス内容だが、

・24時間365日対応可能
・専用ダイヤル等での優先的な配車
・事前に自宅、病院の住所を登録することにより道案内不要
・助産師などから講習を受けたドライバーによる運転
・破水に備えて防水シートなどの完備
・妊娠中の検診時の利用が可能

などで、各タクシー業者によって多少の違いはあるが、ほぼ同様のサービスが行われている。

 登録料は無料で、乗車料金は通常のタクシーと同じだ。深夜や早朝には、普段どおりの割増料金が加算されるシステムを取っているところが多い。自宅、病院の住所を事前に登録しておけば、陣痛が来たとき少ない手順で病院に行くことができることもあり、登録者が増えている。

 ちなみに東京都内の場合、日本交通の陣痛タクシーのほか、国際自動車(東京都港区)のマタニティ・マイタクシーや、都内を営業区域とするタクシー会社によって組織される東京無線協同組合の「プレママ安心タクシー」など、数多く存在している。

需要が増えているワケ
救急車(画像:写真AC)

救急車(画像:写真AC)
「救急車の利用ができるのではないか」

といった声もあるが、これは病院による指示があるときなど、あくまでも緊急性の高い場合の手段のみである。

 さて、需要増の理由だが、自家用車を持っていない家庭の存在が影響している。

 2020年1月に「国土交通省 自動車局 保障制度参事官室」が公開した『自家用車の保有率』を見ると、

・20代…64.0%
・30代…74.0%
・40代…76.9%
・50代…80.5%
・60代…80.4%
・70代以上…74.2%

となっており、20〜30代の自家用車保有率は上の世代より少ないことがわかっているのだ。

 日本交通のウェブサイトによると、陣痛タクシーの利用登録者数は、2021年10月末時点で29万4454人を達成。また、2021年11月9日には累計配車件数が10万20件になり、運用開始から約9年半で10万件を超えている。またコロナ禍においても、毎月1000件の配車があったと書かれている。

普及による影響
陣痛に苦しむ妊婦のイメージ(画像:写真AC)

陣痛に苦しむ妊婦のイメージ(画像:写真AC)
 広島県竹原市のウェブサイトには「陣痛タクシーの紹介」というページが設けられており、市内のタクシー会社3社を掲載。対応可能時間は限られているものの、妊娠中・出産時の通院を手伝う会社として、「住所、連絡先、出産する医療機関名」などの事前登録を促している。

 静岡県藤枝市のウェブサイトでも、「民間事業者によるマタニティタクシーをご利用ください」といった案内がある。藤枝市の補助金を活用したサービスで、妊婦定期健診・緊急時にも対応している。

 神奈川県生活ネットワーク支援協同組合が企画運営している「救援タクシー(Qタク)」でも、取り組みのひとつとして「陣痛119番」と名付けられた、いわゆる陣痛タクシーを運用している。

 このようなサービスがあると、妊婦に安心感が生まれるだけでなく、救急車の適正利用にもつながる。また、サービスの普及が少子化問題の助けになる可能性もある。このようなサービスは今後、どの地域でも利用できるようになってほしい。

引用元:
妊婦の認知度「約9割」 陣痛時の移動手段として超便利な“専用タクシー”をご存じか(au Webポータル)