中国中山大学のMeng Ren氏らは、猛暑が妊婦の早産リスクに与える影響を調べるために中国の8つの省で単体妊娠の妊婦を対象にしたコホート研究を行い、最高気温が閾値を超える猛暑イベントにさらされると早産リスクが増加し、早期予報システムで猛暑を回避できれば、早産リスクを減らせると報告した。結果は2023年5月18日のLancet Regional Health Western Pacific誌電子版に掲載された。

 気候変動は気温の上昇をもたらし、夏季に異常な高気温の日を増やしているが、妊婦は猛暑の影響を受けやすいと考えられる。中でも脱水を起こしたり、胎盤の血流が減少することで、早産のリスク増加が懸念される。妊婦の健康に悪影響を与えそうな猛暑をあらかじめ予測して警告するシステムがあれば、こうした懸念を減らすことができる。

 中国では2013年から、8つの省(遼寧省、河北省、湖北省、湖南省、福建省、広東省、四川省、雲南省)で母子の健康をモニタリングするNational Maternal and Newborn Health Monitoring Projectを行っている。2013年3月6日から2018年12月31日に、27万1720組の母子について健康状態を記録してきた。著者らはこのバースコホートを利用して、猛暑と早産リスクの関連について調べることにした。

 最初の1年間は登録システムの改良を加えながら実施したため、この研究では2014年3月11日から2018年12月31日に子が生まれ、死産や多胎妊娠例を除く21万798組の単体出産の母子を対象にした。

 各地の気象条件は中国気象データサービスセンターから入手した。気象条件は1km×1kmのメッシュを作成して、母親の居住地が当てはまる地域の気温を調べた。各地域の1日の最高気温を指標にして、期間中の最高気温が50〜97.5パーセンタイルを超える日をカウントした。また、絶対気温を指標にして、期間中に30℃を超える日が何日あったかもカウントした。受胎から出産まで、妊娠週数を4週ごとに区切って、地域ごとに異常高温にさらされた日数を調べた。

 主要評価項目は、妊娠37週未満での早産とした。妊娠週数は母親の最終月経報告と超音波検査に基づいて決定した。今回は最高気温の閾値を80パーセンタイルに設定して、これを超えた場合を猛暑イベントとした。4週ごとに区切った妊娠期間(妊娠1〜4週、5〜8週、9〜12週、13〜16週、17〜20週、21〜24週、25〜28週、29〜32週、分娩前4週間)の猛暑が早産リスクに及ぼす影響を検討するために、同じ期間に猛暑を経験しなかった妊婦と比較した早産のハザード比を推定した。感度解析として、閾値を90パーセンタイルにした場合と70パーセンタイルにした場合のリスク推定も行った。

 なお、猛暑が早産にもたらす人口寄与危険度(PAF)は、PAF=曝露確率(相対リスク−1)/曝露確率(相対リスク−1)+1として算出した。



引用元:
妊娠中の猛暑は早産リスク(日経メディカル)