ロボット技術は人間の生殖にも進出している。アメリカでは人類初となる「精子注入ロボット」によって受精した赤ちゃんが誕生したそうだ。
スペイン、バルセロナの企業が開発した精子注入ロボットは、これまで手作業で行われた体外受精を自動で行ってくれる。
昨年春、アメリカ、ニューヨークの病院では、このロボットで十数個の受精卵が作られ、元気な女の子の赤ちゃんが2人誕生したと『MIT Technology Review』は伝えている。
人間の手で精子注入を行うのは難しいとされていたが、ロボットで自動化することで成功率を高め、高額な不妊治療のコストを大幅に低減させることができると期待されている。
・ロボットが作った受精卵から女の子が2人誕生
カメラで確認しながら、プレステ5のコントローラで針の位置を決めると、あとは精子注入ロボットが自動でシャーレに置かれた卵子に針を刺し、精子を注入してくれる。
昨年春、ニューヨークの「ニューホープ・ファーティリティ・センター」で行われたこのロボットによる人工授精では、十数個の受精卵が作られ、これまでに2人の元気な女の子が生まれている。
精子注入ロボットを開発したスペイン企業「オーバーチュア・ライフ社(Overture Life)」の主任遺伝学者サンチャゴ・ムネ氏によれば、この技術は将来的に不妊治療クリニック通いをなくしてくれるかもしれないという。
ロボットで受精させる装置・体外受精の成功率を高め、コストを低減させる
大きな負担となる病院通いがなくなるのもさることながら、子供を望む人たちにとって最大のメリットは治療費が大幅に安くなることだろう。
人工授精を行う胚の培養技術者は、アメリカでは年収12万5000ドル(1700万円)以上も稼ぐ高給取り。そうした人たちが行う不妊治療は、1回で2万ドル(270万円)以上もかかる高額な医療行為だ。
なお日本の場合、不妊治療は令和4年4月から保険適用となっている。詳しくは厚生労働省のサイトを参照してほしい。
だが、どんな医者でも手軽に体外受精できるのであれば、不妊治療の医療費はこれまでよりずっと下がるだろうことが期待される。
それどころか、体外受精プロセスがほぼ完全に自動化される日も来るかもしれない。実際、オーバーチュア・ライフ社は、そのための「バイオチップ」を特許出願をしている。
このチップには、精子が泳ぐための溝や、成長液入りのタンクなどがセットになっており、ムネ氏によれば、「精子と卵子を入れると、5日後に受精卵が出てくる箱」のようなものなのだそうだ。
Fertilis が開発した 3D プリント製のマイクロ クレードルは、人間の卵子 1 個を運ぶように設計されている・体外受精を手頃で身近なものに
「AutoIVF」「IVF 2.0」「Conceivable Life Sciences」など、こうした人工授精サービス企業は今や10社を超え、その市場規模は250億ドル(3.4兆円)以上あると推定されている。
Conceivable Life社の共同設立者アラン・マーレー氏によると、アメリカでは不妊治療の多くに医療保険が適用されないため、その費用は平均8万3000ドル(1100万円)もするのだという。
同社が目指すのは、ロボットを利用することで、治療費を7割下げることだ。
現在、世界では毎年およそ50万人の赤ちゃんが体外受精によって誕生しているが、現実にはそれを利用できず子供を諦めている人が大勢いる。
それゆえに、不妊治療をもっと手軽に行えるようになれば、その潜在的な需要は非常に大きい。「これこそが真の需要です」とマーレー氏は語る。
3Dプリントされたポッドに入れられた卵をマイクロニードルが貫通する様子。卵の大きさは約0.1mm。
ただし不妊治療の専門家の間には、治療の自動化によって本当にコストダウンできるのか懐疑的な意見もあるようだ。
というのも、不妊治療が失敗する大きな原因の1つは、卵子の老化だからだ。ロボットではそれを解決できない。
だが、不妊治療の自動化は、これまでは難しかったより緻密な調整が可能になるということでもある。
たとえ成功率がほんの少し上がっただけでも、毎年生まれる赤ちゃんは何万人も増えることになる。
イノベーション・ファーティリティーの主任科学者キャスリン・ミラーは、「胚培養の専門家は、これから大きく進化するでしょう。今は技術者ですが、いずれはデータ科学者になるのだと思います」と話している。
References:The first IVF babies conceived by a robot have been born | MIT Technology Review/ written by hiroching / edited by / parumo
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引用元:
精子注入ロボットを使って受精した最初の赤ちゃんが誕生、体外受精の成功率に貢献(BIGLOBEニュース)