5つの有害な妊娠アウトカム(早産、在胎不当過小、妊娠高血圧腎症、妊娠高血圧腎症以外の妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病)のいずれかを経験した女性は、出産後の虚血性心疾患のリスクが高く、このリスク上昇は最長で46年持続していることが、米国・マウントサイナイ・アイカーン医科大学のCasey Crump氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2023年2月1日号で報告された。

スウェーデンの全国的なコホート研究
 研究グループは、5つの有害な妊娠アウトカムと母親の虚血性心疾患の長期的なリスクとの関連の評価を目的に、スウェーデンにおいて全国的なコホート研究を行った(米国国立心肺血液研究所[NHLBI]などの助成を受けた)。

 対象は、1973〜2015年にスウェーデンで、単胎分娩による初回の出産をした女性219万5,266人であった。主要アウトカムは、全国の入院・外来診断で確認された出産から2018年までに発生した虚血性心疾患とされた。

 Cox回帰を用いて、他の有害な妊娠アウトカムおよび母性因子を調整し、早産、在胎不当過小、妊娠高血圧腎症、他の妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病と関連した虚血性心疾患のハザード比(HR)を算出した。

有害な妊娠アウトカムの数が増えるとリスクも上昇
 5,360万人年の追跡期間中に、8万3,881人(3.8%)の女性が虚血性心疾患(急性心筋梗塞55.3%、狭心症38.7%)と診断された。初回出産時の年齢中央値は27.3歳、虚血性心疾患診断時の年齢中央値は58.6歳であった。

 5つの有害な妊娠アウトカムはいずれも独立に、虚血性心疾患のリスク上昇と関連していた。出産後10年以内に特定の有害な妊娠アウトカムと関連した虚血性心疾患の補正HRは、他の妊娠高血圧症候群が2.09(95%信頼区間[CI]:1.77〜2.46)と最も高く、次いで早産1.72(1.55〜1.90)、妊娠高血圧腎症1.54(1.37〜1.72)、妊娠糖尿病1.30(1.09〜1.56)、在胎不当過小1.10(1.00〜1.21)であった。

 また、出産後30〜46年が経過しても、補正後HRは有意に上昇したままであり、他の妊娠高血圧症候群が1.47(95%CI:1.30〜1.66)、妊娠糖尿病が1.40(1.29〜1.51)、妊娠高血圧腎症1.32(1.28〜1.36)、早産1.23(1.19〜1.27)、在胎不当過小は1.16(1.13〜1.19)だった。

 複数の有害な妊娠アウトカムを経験した女性は、さらにリスクが上昇していた。たとえば、出産後10年以内に、有害な妊娠アウトカムを1回経験した女性の虚血性心疾患の補正後HRは1.29(95%CI:1.19〜1.39)であったのに対し、2回経験した女性は1.80(1.59〜2.03)、3回経験した女性は2.26(1.89〜2.70)であった。

 著者は、「有害な妊娠アウトカムを経験した女性では、虚血性心疾患の発症を防ぐために、予防に関する早期の評価と、長期的なリスク軽減を考慮する必要がある」としている。

(医学ライター 菅野 守)

原著論文はこちら

Crump C, et al. BMJ. 2023;380:e072112.


引用元:
有害な妊娠アウトカム、母親の虚血性心疾患リスクが長期的に上昇/BMJ(Care Net)