「こうのとりのゆりかご」を運用している慈恵病院の蓮田健理事長は全国2例目として開設された北海道の赤ちゃんポストを視察した。新たな広がりを見せた赤ちゃんポスト。北海道に開設されたことで見えてきたことがあった。

 1月29日、慈恵病院の蓮田健理事長は北海道へ向かっていた。

■慈恵病院・蓮田健理事長
「(北海道の当別町で)赤ちゃんポストを開設している女性がいらっしゃるのでそちらを見学させていただいて、遠く離れた熊本からではあるけどお手伝いできることがないか探しに行く。それもひとつの目的です」

 札幌から列車で約40分。雪が降り積もる北海道石狩郡当別町。当別町で子育て支援などを行う坂本志麻さんは去年5月、坂本さんは自宅に「ベビーボックス」を作った。親が育てられない子どもを名でも受け入れるいわゆる「赤ちゃんポスト」として運用している。

■坂本志麻さん
「上空が20℃設定でこちらが35℃…よろしかったら触ってみてください」

■慈恵病院・蓮田健理事長
「あたたかいですね」

預け入れはまだ一度もない。一方でベビーボックスを設置した後、坂本さんのもとには妊娠や子育てに関する相談が20件寄せられた。

■こどもSOSほっかいどう・坂本志麻さん
「行政の方は匿名だと福祉サービスの対応ができないので、親に頼れない、実家機能を失っている周囲に頼れないご事情をかかえた方がここだったら何とかなるかもと思っていただけるようにしたい」

 確実に存在する、悩む女性。ただ思いを通すのは一筋縄ではいかない。

■坂本志麻さん
「13回目の自粛要請です」

 北海道庁はベビ―ボックスの運用自粛を要請している。その理由は…。

■北海道子ども子育て支援課・手塚和貴担当課長
「受け入れ後の対応が不明確で医療スタッフや医療設備が確保されていない。赤ちゃんポスト自体が危険な孤立出産を前提としているので、道としては認められない」

 決して国や法律で守られた方法ではない。そんな中でも子どもを受け入れる取り組みを続けてきたのが慈恵病院だ。「こうのとりのゆりかご」は複数の医師や看護師が24時間体制で対応。預け入れがあった場合、病院は警察と児童相談所に連絡し共にその後の手続きなどを行う。

 一方、北海道のベビーボックスは預け入れられた後の子どもへの支援が現時点でははっきりしない部分もある。安全面以外にも費用や人材など多くの課題が残る自宅での運用。それでも意義があると蓮田理事長は考える。

■慈恵病院・蓮田健理事長
「坂本さんにメッセージを預かってきています」

 手渡したのは坂本さんに宛てた手紙。書いたのは慈恵病院に相談に訪れた女性だった。

■坂本志麻さん
「ひとつでも多くの命が救われるように。これからもがんばってください』と書いてあります。ありがとうございます」

 女性は熊本に来る前、北海道で坂本さんに悩みを打ち明けていた。

■慈恵病院・蓮田健理事長
「もちろん安全面は色々あると思います。頼るところがあることの方が存在意義が大きいと思っています」

蓮田理事長は妊婦や赤ちゃんの病院を探す手助けや匿名での出産を希望する場合は慈恵病院で引き受けることを提案した。

■慈恵病院・蓮田健理事長
「できない理由をあげつらうのではなくできるようにするにはどうするか、赤ちゃんの遺棄殺人を防ぐ手立てが広がるかどうか一種の試金石のような形ではないかと思っています」

引用元:
北海道の「赤ちゃんポスト」蓮田理事長視察【熊本】(KKT熊本県民テレビ)