県内の産婦人科医療施設で、不妊治療に使う排卵誘発剤が不足しているため治療の見通しが立たなくなっている。青森市のクリニックでは今月から、体外受精をやむを得ず休止した。不妊治療が昨年4月に医療保険の適用になったことで薬の需要が高まったことや、生産工程の不備によって製薬会社に一時的に製造中止命令が出たことなどが影響したという指摘がある。

 青森市の「エフ.クリニック」では、昨年11月から、長く使用していた注射のホルモン製剤(排卵誘発剤)が手に入りづらくなり、1月には入荷がストップ。中旬から新規の体外受精を休止せざるを得なくなった。同クリニックでは年間約800件の体外受精を実施。排卵誘発剤は体外受精に不可欠という。

 藤井俊策院長は「出荷再開のめどが立っていないので大変困っている。こんなことは初めてだ。治療休止中に43歳を超え、公的保険の適用外になってしまう人もいる」と険しい表情を見せた。

 青森市の「レディスクリニック・セントセシリア」の上田克文院長は「薬局にホルモン剤の在庫を日々確認している。今のところぎりぎりで踏みとどまっているが、今後、治療の一時見合わせもあり得る」と説明した。

 弘前大学付属病院産科婦人科の福原理恵医師は「薬剤の供給停止や制限が相次ぎ、治療継続を非常に危惧している」と述べた。

 不妊治療の薬剤不足は全国的な傾向。「あい薬局」(青森市)の鈴木美幸管理薬剤師は「不妊治療の保険適用によって、排卵誘発剤のニーズが増したことが影響している。需要に製薬会社の生産が追いついていない」と話す。

 他の医療関係者は「製薬会社で手順書に順守していない製造過程が見つかり、数カ月単位で国から製造中止命令が出された。生産を続けるメーカーに、生産能力以上に発注が入り、出荷制限が起きている。それは保険適用の前からあった」と説明。「新型コロナウイルスやウクライナ戦争による物流障害も影響している」との指摘もある。

 「婦人科さかもとともみクリニック」(弘前市)の坂本知巳院長は「地方の小規模クリニックは、他のメーカーの薬品を注文しようとしても、使用実績がないため断られる」と説明し「薬剤不足で患者に迷惑がかかっていることは非常に残念。メーカー側が安定供給できるようになるのを待つしかない」と語った。

 藤井院長は、政府が少子化対策の強化を打ち出している現状を踏まえ「国がより積極的に薬剤不足解消に努めてほしい」と述べた。

引用元:
青森県内「不妊治療薬足りない」 体外受精休止の医療施設も/需要高、製造中止命令など影響 (Yahoo!JAPANニュース)