厚生労働省は「緊急避妊薬のスイッチOTC化」を検討していることを受け、その賛否をm3.com意識調査で尋ねたところ、「賛成」「条件付き賛成」が勤務医は計73.0%、開業医では計60.4%で、いずれも「反対」を大きく上回った。年代別では、若い世代ほど「賛成」が多い傾向が見られた。
自由意見としては、「賛成」「条件付き賛成」の立場からは、「女性の安全性は、必須であり、性教育とは別儀」「避妊できなかったことを責めるようなスタッフが多いように見受けられる」「望まない妊娠を減らすことが母子の安全につながると思う」「女性が妊娠是非の自由意思を得る第一歩になる」など、緊急避妊薬にいち早くアクセスできるようにする必要性や産婦人科を受診するハードルの高さのほか、女性の権利擁護などの視点からの意見が上がった。
その一方、「反対」の立場からは「副作用の説明や月経周期の確認、OC(低用量経口避妊薬)の説明など医師から説明した上で飲んでもらいたいから」「彼女が妊娠、父親になりたくない男が緊急避妊薬を買ってこっそり飲ませる、こういった事件は想定されているのだろうか」など、教育の必要性や悪用を恐れる声が寄せられた。
厚労省は2023年1月31日まで、パブリックコメントを求めている(厚労省のホームページ参照)。
Q1:緊急避妊薬のスイッチOTC化に賛成?反対?
緊急避妊薬は現在、産婦人科を受診して処方してもらう必要がある(オンライン診療も可能)。これをスイッチOTC化して、処方箋を不要にし、薬局で「要指導医薬品」などとして入手できるようにするかどうかが論点だが、勤務医では「賛成」38.5%、「条件付き賛成」34.5%で計73.9%となり、「反対」8.5%の8倍以上だった。開業医でも「賛成」28.2%、「条件付き賛成」32.2%で計60.4%となり、開業医よりはやや少ないものの、「反対」20.7%を大きく上回った。
年代別では、若いほど「賛成」「条件付き賛成」が多い一方、年代が上がるにつれ「反対」が多くなる傾向が見られた。なお、診療科別の傾向は見られなかった。
Q2:前問の理由について、ご自由にお書きください。【任意】
◆賛成
医療機関の受診を強制することで遅れが生じ、その間に胚になれば、それは生を享けてから殺されることになる。これは胎児をかき出すのと何一つ変わらない。こういう事態を防ぐためには避妊は迅速に行われるべきであり、OTC医薬品として市販されてより迅速に入手できることは迅速性を実現するための有効な手段となる。【勤務医】
現在の産婦人科で処方してもらうシステムは中途半端。100%の正解はないが、不要な受胎を防ぐためという原点に返ればスイッチOTC化が望ましい。【開業医】
欧米のように気軽に手に入れば、無駄な堕胎が減らせる。ヨーロッパでは、男性(パートナー)すら証明書などの提示なしに買えます。【勤務医】
女性の安全性は、必須であり、性教育とは別議。従って、色々な想定を含め、被害を最小限にとどめる手段と機会は担保すべき。【勤務医】
誰でも簡単にできるような施策があるべきと考えます。避妊は緊急性を要するので簡易化する必要があると思います。【勤務医】
必要時に手に入るようにしてあげるのが良い。この時期に緊急避妊薬のためのわざわざ受診するというのも困る。【勤務医】
時間をおくと、手遅れになりますからね。子殺しのニュースを見ると暗澹たる気持ちになります。【勤務医】
むしろ今までOTCでないことがおかしな話で、女性が妊娠是非の自由意思を得る第一歩になる。【勤務医】
婦人科を受診するハードルの高さを考えると自由に買えた方がいいのではないかと思う。【勤務医】
反対している男性たちは、「男性の性犯罪を完全にゼロにしてから物を言え」といつも感じています。【開業医】
◆条件付き賛成
緊急避妊薬をもらいにいくときに、問診でしつこくどうやって避妊に失敗したか事細かに聞かれたり、避妊に失敗したのをさげすむような発言が医療スタッフからあったりする。私は産婦人科ではないが、そのときの様子を根掘り葉掘り聞かれる、避妊できなかったことを責めるようなスタッフが多いように見受けられる(必ずしも全てがそうではないし、教育的な取り組みをしているところもあると思うが)。避妊に失敗しただけでも不安で恥ずかしいのに、それを蒸し返したり、責めるような対応があると、次回本当に避妊に失敗して危険なタイミングだとしても、受診を控えてしまうのでは?あとは、女性目線から言うと、受診しないともらえないシステムだと、リアルに産婦人科は3時間待ちもザラなので、それだけでもハードルが高い。特に完全予約制の病院さんだと、予約外で受診しようとすると、待ち時間3時間では済まないところも多いかと。ただ、犯罪に使われたりしても困るので、難しい問題なんだと思う。条件付きは必要と思われる。【勤務医】
不法不要な処方が増えると思われる。診察してカルテに問診など記載が必要だろう。問題が起きた時に誰が責任取る?処方の危険性もある。血栓塞栓症とか起こったときに誰が責任取る?市中の方は、薬物の益、不益について十分に分かっていない。簡便、便利さの裏に危険が伴う。多分、厚生労働省は問題が起こったときに責任は取らないだろう。【勤務医】
内服時間制限があることを考慮すると望まない妊娠の予防には必要であると思う。一方で産婦人科受診の機会が減り、避妊への正しい知識を得られるチャンスが減ってしまうことが懸念される。女性自身が自分自身を守れる正しい性教育がなければOTC化が悪用されるリスクがあると思う。【勤務医】
なるべく早く服用できるように整えてほしい。単に時間的な問題だけでなく、医療機関にかかるにはハードルが高い人もいると思う。望まない妊娠を減らすことが母子の安全につながると思う。一方で、やはり一連の流れの中で、一度は医療機関にかかるべきだと思う。【勤務医】
望まない妊娠を減らせる可能性があるから。産婦人科を受診する行為は、時間のロスと敷居が高くてやめる人がいる現実がある。【勤務医】
現状、救急外来で処方するときも、研修医による問診と説明のみで処方しているので、薬剤師が同様の対応をできるなら賛成。【勤務医】
基本的に医師の診療だとオンライン診療があるとしても時間的制約がある。薬剤師関与の上で導入すると良いと思う。【勤務医】
安易な利用はしてほしくないが、望まない赤ちゃんがいずれ虐待などにつながってしまう可能性があるので。【勤務医】
薬には副作用があるので何かあった時責任の所在をはっきりさせ、きちんと対応できれば良いと思います。【勤務医】
血栓症の副作用が弱いとはいえ、あるのであれば、薬剤師や医師の説明はあってしかるべきだと思います。【勤務医】
必要性は十分にあると思うが、その大前提として教育が必要であることがKeyと思われる。【開業医】
◆反対
彼女が妊娠、父親になりたくない男が緊急避妊薬を買ってこっそり飲ませる、こういった事件は想定されているのだろうか。【勤務医】
判断能力のない者や能力のない状況で服薬してしまう危険性や、パートナーからの強要等の危険性が考えられるため。【勤務医】
強姦を目的とした際に男性がアフターピルを買うなどはいかがなものかと思う。【勤務医】
副作用の説明や月経周期の確認、OC(低用量経口避妊薬)の説明など医師から説明した上で飲んでもらいたいから。【開業医】
若者の思考として薬局で買えるから大丈夫という安易な発想が出てくる危険あり。【開業医】
【調査概要】
引用元:
緊急避妊薬スイッチOTC化、勤務医7割、開業医6割「賛成」「望まない妊娠を減らす」「”こっそり飲ませる”事件、想定?」(m3.com)