担い手不足が深刻な分娩(ぶんべん)を扱う産科を維持するため、群馬県高崎市は2023年度、新たな支援策に乗り出す方針を固めた。医師や看護師、助産師ら医療従事者の確保に向け、主に分娩を扱う市内の民間4施設(診療所3、病院1)に対して年間計1億円を継続的に補助する。このうち1施設については、消防設備の設置費も補助する。市内の別の医療機関が来年3月末で分娩の取り扱いを終了することなどを受け、市民が地元で安心して出産できる態勢を守ることが必要と判断した。

 市によると、昨年度に2944件あった分娩の8割強を4施設で取り扱った。4施設以外は高崎総合医療センターが223件を担うなどし、残る300件近くを分娩の取り扱いが来年3月末で終了する医療機関が担っていた。

 この医療機関は大規模修繕の必要性が迫ったことや働き方改革などを理由に、外来診療に専念することを決めたという。

 市は診療所1カ所につき2千万円、病院に4千万円を補助する方針で、医師らの処遇改善や新規採用などにつなげ、経営を継続してもらいたい考え。また、消防法施行令の改正により、一定規模以上の診療所はスプリンクラー設置義務があるが、多額の費用がかかり、経営を圧迫することが懸念される。1施設で整備が必要で、2500万円の補助を見込んでいる。

 医療従事者確保のための費用を2023年度当初予算案に盛り込み、24年度以降も当面の間は継続。スプリンクラー設置は24年度以降に予算化する方向で調整している。

 第8次群馬県保健医療計画(18〜23年度)によると、県内で分娩を取り扱う施設は17年に39施設で、07年から11施設減った。常勤の産科医師の高齢化が課題で、分娩を取り扱う施設の減少が続くと予想している。

 市によると、17年以降に2施設が分娩の取り扱いをやめるか、取扱件数を大幅に縮小している。産科の医療従事者確保のために市町村が補助金を支出しているのは三重県尾鷲市だけで、県内では初めて。高崎市の富岡賢治市長は「市民が安心して子どもを産み、育てられるようにしたい」とコメントした。

引用元:
分娩維持へ年間1億補助 4施設の医療従事者確保を支援 群馬・高崎市(上毛新聞)