カナダMcGill大学のAsma Ahmed氏らは、妊娠中の予期しない外傷が生まれた子の脳性麻痺リスクに影響を与えるかどうかについて検討し、救急部門を受診するレベルの外傷を負うと子の脳性麻痺リスクが増加し、外傷が重症であるほどリスクが高くなる傾向を示したと報告した。結果は2022年11月28日のJAMA Pediatrics誌電子版に掲載された。
妊婦の6〜8%が、分娩までに外傷を経験する。ほとんどが意図せぬもので、自動車事故と転倒が最も多く報告されている原因だ。外傷は、産科疾患以外の原因による妊婦死亡の主な原因の1つであり、妊婦には子宮破裂や早産、胎盤早期剥離などが、胎児には新生児仮死などが発生する可能性がある。
外傷により入院した妊婦の3人に1人は、入院中の分娩となることを示した報告や、退院後に分娩した場合も、母子の転帰は不良であることを示した報告があった。しかし、胎内で母親の外傷に曝露することが、児の神経発達に及ぼす影響を調べた研究は、これまでほとんどなかった。報告されている住民ベースの研究は1件だけで、母親の自動車衝突事故と子の脳性麻痺リスクの関係を検討しており、早産となった児における脳性麻痺リスクの増加を報告していた。
著者らは、妊婦の意図しない外傷と子の脳性麻痺の関係を検討するために、大規模かつ長期に渡る住民ベースのコホート研究を実施した。カナダのオンタリオ州の公立病院で、2002年4月1日から2017年3月31日までに、在胎週数が20週超で出生した生児からなるバースコホートを後ろ向きに構築し、2018年3月31日まで追跡した。死産児や、記録に欠失がある場合は除外した。
妊婦の意図しない外傷は、入院時の診断または救急部門での診断に基づいて判断した。妊婦の精神状態や日常的なストレスの高さを反映している可能性があるため、自殺企図とDVによる外傷は除外した。外傷の重症度は、救急部門を受診したが入院は不要だった患者を非重症とし、入院治療を受けた患者を重症とした。また、妊婦の外傷に胎内で曝露した回数(1回または2回以上)、外傷から分娩までの日数(7日以内または7日超)、外傷発生のタイミング(妊娠初期、中期、後期)に基づいて分類した。
主要評価項目は、出生から追跡終了時点までの脳性麻痺の診断とした。脳性麻痺の確定診断は、出生から16歳までの入院中の診断、または2週間以上離れた2回の外来受診での診断とした。共変数として、社会人口学的特性と臨床特性などに関する情報も得た。
引用元:
妊婦の外傷が子の脳性麻痺リスクと関連(日経メディカル)