育児の話題をお伝えするコーナー。カップルの5.5組に1組は不妊治療に取り組んでいると言われる中、今年4月に不妊治療に保険が適用されて半年が過ぎました。見えてきた現状とは?

今年10月、県は、県内の不妊治療を行う医療機関にアンケートを行いました。
それによりますと、保険適用後の今年度は、昨年度に比べ、およそ1割受診する人が増えたことが明らかになりました。

【県子供未来応援課・梅田真紀課長】
「20代・30代前半の方ですね。割と若い年齢の方が早めに不妊治療・不妊検査を始められるということが多くなっている」

県は4月に妊活サイトをリニューアルオープンし、情報を発信、アクセス数はリニューアル前の4倍に増え、35歳未満の若年層が8ポイントアップし、57%を占めています。

【県子供未来応援課・梅田真紀課長】
「なかなか不妊治療に踏み出せない方もいらっしゃったと思うが、保険で3割負担でできるようになり、それならやってみようと踏み出す方も多くなったのではないか」

不妊治療は「一般不妊治療」と「生殖補助医療」に分かれ、排卵のタイミングに合わせる「タイミング法」。精液を注入器で直接支給に注入する「人工授精」。精子と卵子を採取した上で体外で授精させる「体外受精」。さらに高度な「顕微授精」などと段階があります。

料金は病院によって異なりますが、「人工授精」でおよそ3万円「体外受精」でおよそ50万円など高額な費用が治療する人の負担となってきました。
いまや、「体外受精」や「顕微授精」などの生殖補助医療で生まれる赤ちゃんはおよそ14人に1人となる中、今年4月から保険の適用で、年齢制限や回数制限はあるものの、3割の負担で治療が受けられたり、高額療養費制度でさらに負担が軽減される人も出てきました。
6年間の不妊治療を経験し、現在は、不妊治療の啓発活動を行う女性は…。

【NPO法人Fine・野曽原誉枝理事長】
「以前よりは不妊治療に対する理解や周知が広まった。だから不妊治療をしやすくなったという声をいただいている」

野曽原さんたちが行った調査では、65%の人が、保険適用でよくなったと感じることがあり、「経済的に治療が進めやすくなった」「支払う医療費は少なくなった」「心理的に治療が始めやすくなった」と経済的負担が軽減したとの声が大きく上がっています。

一方で「悪くなった」と感じることがある人は73%とさらに多く「医療機関の待ち時間が増えた」「保険適用の範囲がわかりづらい」とともに逆に「経済的負担が大きくなった」が3割を占めています。
保険適用後の医療費を問う調査でも、「減った」と答えた人が4割いる一方で、「増えた」と答えた人も3割いました。これはいったいどういうことなのでしょうか?

【NPO法人Fine・野曽原誉枝理事長】
「いまの段階では保険適用の範囲が狭い。保険適用ではなかなか難しい状況にある方々にとって、自由診療もしくは先進医療で治療せざるを得ない。その部分で100%自己負担になってしまうので、経済的な部分で負担が増えた人がいらっしゃるのは事実」

混合診療ができない日本では、保険適用外の治療を受けると通常なら保険適用されるものまで自己負担に変わるというケースが出てくるのです。

【NPO法人Fine・野曽原誉枝理事長】
「年齢だったり回数制限だったりちょっとした薬剤の量で保険適用になるならないと二つに分かれる状況が発生しているのは私たちとしてもとても残念だ」

この状況に専門医は?

【HARTクリニック・向田哲規院長】
「ご主人が出張などのために精子が体外受精の日に採れない場合は前もって精子を凍結で置いとかないといけないが、それをやるんであれば、その一項目のために全部が自費になる。なかなか妊娠しにくい人全部にあてはまる保険制度になってないという部分は問題だ」

さらに同じ治療を受けていても、医療機関が必要な基準を満たしているかどうかで保険が適用されるか全額自己負担になるか分かれているものもあるなど、制度がかなり複雑になっています。

【県子供未来応援課・梅田真紀課長】
「県内の医療機関では半分ぐらいしかその施設基準を満たしているところが無い状態、受診されている医療機関によって同じ技術を使っても保険が使える場合と使えない場合がある。情報を確認していただいて、通われる医療機関を選ばれるということが必要になる」

2年に1回の改定がある保険制度。次の改定は再来年の4月です。

【HARTクリニック・向田哲規院長】
「特に不妊治療というのは、一番の問題は年齢がいってしまうとなかなかできにくくなるという点が一番大きいので、制度が完全にできてからとなるともう年齢は過ぎてしまう。そういう人のためにもよりよいシステムが、より早くできるシステムになるべきではないか」

一部の人には、負担が重くなっている保険適用。
少子化対策に向け改善の余地が浮き彫りとなっています。


引用元:
「不妊治療」保険適用から半年 治療人口は増加するも…見えてきた課題 広島(テレビ新広島)