妊婦や乳幼児を巡る事件が相次いだことを受け、北海道は12月から電話やSNS(ネット交流サービス)を活用した相談窓口「にんしんSOSほっかいどうサポートセンター」の運用を開始した。委託先の社会福祉法人が夜間や休日も相談を受ける。予期せぬ妊娠などの場合、身近な家族にも相談できず、妊婦が孤立してしまうことがある。担当者は「悩みを抱える妊婦さんに『ひとりじゃないよ』と伝えたい」と寄り添う。【山田豊】
今年6月にJR千歳駅(千歳市)のコインロッカーで、生まれて間もない男児の遺体が発見される事件があった。まだ公判が始まっておらず、動機の詳細は解明されていない。だが、道子ども子育て支援課の担当者は一般的な見解として「思いがけない妊娠で悩みや不安を抱える妊婦は少なくない。家庭環境や生活貧困などの複雑に絡み合った要因から事件に発展することもある」と指摘する。
この事件のほかに、当別町の市民団体が4月に試験運用、5月に正式運用を始めた「ベビーボックス(赤ちゃんポスト)」という施設の存在も妊婦や乳幼児を巡る問題について、道が対応を急ぐ要因の一つになった。道は施設に対し、受け入れ態勢が不十分なことなどを理由にこれまでに複数回、運営自粛を求めてきたが、道としても「支援に結び付けられていない妊婦が一定数いる。拾い上げなければならない」(担当者)との問題意識を持たざるを得ない状況になった。
そのような背景から道はサポートセンターについて、今秋の第3回道議会定例会で予算要求し、12月から来年3月末までの22年度分委託費として508万6000円の予算を確保。問題解決への一歩を踏み出す考えだ。
委託先の社会福祉法人「麦の子会」は昨年6月から日本財団の助成を受け、主に助産師や社会福祉士、保健師、看護師が妊産婦の相談や居場所のない妊婦に部屋を提供するなどの活動に取り組んできた。昨年6月からの延べ相談件数は約1200件。積極的に相談を受ける姿勢が評価されている。
にんしんSOSほっかいどうサポートセンターの田中佳子所長=本人提供拡大
にんしんSOSほっかいどうサポートセンターの田中佳子所長=本人提供
にんしんSOSほっかいどうサポートセンターの田中佳子所長は「未受診で妊娠8〜9カ月の中後期を迎えた妊婦の相談も少なくない。家族との関係が悪く、頼る場所がない人も多い。孤立する人が増えると、乳児の虐待事件などにつながってしまう。お母さんと乳児の両方を守るために活動する」と話す。
12月からは、電話やメール、SNSなどで相談に乗る。対面での相談も実施し、病院への付き添いなども行う。田中さんは「ひとりで悩まないでほしい。『手を差し伸べる人はたくさんいますよ』と伝えたい」と語った。
相談窓口は札幌市東区北36条東9丁目1−14西尾記念ビル内にあり、平日は午後5時から午後11時まで、休日は午前9時から午後11時まで開いている。電話(080・4621・7722)、メール(ninshin-sos@muginoko.com)、SNSは24時間体制で対応する。SNSの受け付けは12月下旬に始まるという。
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予期せぬ妊娠で不安や悩みを抱える妊婦を巡っては、国が9月末にガイドラインを示すなどし、社会全体で議論が活発化した。11月28日の道議会少子・高齢社会対策特別委員会でも、病院以外に身元を明かさずに出産する「内密出産」の問題が取り上げられた。
道の担当者は「子どもの出自を知る権利が確保されることや出産前後の母子に必要な支援を提供していく上でも、身元情報を明らかにして出産することが原則」と説明。さらに「さまざまな事情や背景を抱えていても、通常の出産手続きが行われるように関係機関と連携して取り組むことが重要」と語り、国が示したガイドラインを尊重した。
引用元:
妊娠の悩み「ひとりじゃないよ」 北海道が相談窓口の運用を開始(毎日新聞)