赤ちゃんのおなかの中のビフィズス菌は、お母さんが与える母乳によって増えます。そして離乳期、赤ちゃんの腸内細菌は転機を迎えるといわれています。小児の消化器を専門とする順天堂大学医学研究科主任教授で順天堂大学医学部附属順天堂医院副院長の清水俊明さんと、森永乳業で母子の栄養に関する研究をしている健康栄養科学研究所栄養機能研究室主任研究員の江原達弥さんに、ビフィズス菌を増やすオリゴ糖や離乳期に大きく変化する腸内細菌についてうかがいました。
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江原達弥さんB
母乳が出やすい環境づくりが大切
――ビフィズス菌のエサはオリゴ糖や水溶性食物繊維と言われています。母乳や育児用ミルクだけの赤ちゃんの場合は何がエサになっているのですか。
江原 オリゴ糖は重要なエサの一つです。母乳には「ヒトミルクオリゴ糖」という特別なオリゴ糖が含まれており、赤ちゃんのビフィズス菌を増やすことに役立っています。
ヒトミルクオリゴ糖は母乳に含まれる様々な形のオリゴ糖の総称で、母乳中で3番目に多い成分です。赤ちゃんに特徴的なビフィズス菌種を増やすなどして、腸内環境を良好に保つことに貢献していると考えられています。ヒトミルクオリゴ糖などの様々な種類のオリゴ糖が赤ちゃんの腸内細菌叢(さいきんそう)や健康に、どのような影響を与えているか、森永乳業では研究を続けているところです。
清水 母乳が赤ちゃんの腸内環境に影響を与えていることは分かってきています。母乳には、オリゴ糖やラクトフェリンなどビフィズス菌を増やす成分がたくさん入っていて、母乳を飲むことによって赤ちゃんの腸内環境は良くなっていきます。
それだけに、お母さんの母乳が出やすくする環境を整えることが大切です。お母さんにストレスがかからないようにすることが必要でしょう。
以前は、人工栄養のミルクだと赤ちゃんのおなかのビフィズス菌はなかなか増えませんでしたが、いまはミルクにもオリゴ糖やビフィズス菌が配合されるようになりましたので、母乳だけでは足りない場合は、上手に使うと良いと思います。
清水俊明先生B
離乳期に腸内細菌が変化 便秘になる赤ちゃんも
――新生児は軟便ですが、離乳食を始めると便秘の心配があると聞きました。
清水 便秘になる赤ちゃんは少なくありません。離乳食が始まるのは生後6カ月ぐらいからですが、このころから便秘になる場合があります。
原因の一つとして考えられるのが、腸内環境の変化です。それまでは母乳や人工乳だけを飲んでいたのに、離乳食で様々な食品を口にすることになります。そのため、腸内環境が大きく変わるからです。
小さいころに便秘になると、便がたまっても便意を感じなくなり、これを放っておくと習慣性便秘になってしまう場合もあります。そうなると、からだに良いものを食べても、結局、大腸に便が溜まって結果として悪い菌が増えてしまうことにもなります。きちんと排便の習慣をつけることは大切です。
腸戦者に訊くE清水先生吉本さんツーショットB
――原因になる食べ物があるのでしょうか。
清水 そういうわけではありません。離乳食で食べるものは大体決まっています。おかゆに始まり、野菜や卵といったものでしょうか。みんな、大きな違いはありません。
赤ちゃんのおなかには、たくさんのビフィズス菌がすみ、母乳に含まれるヒトミルクオリゴ糖をエサにしていました。それが、様々なものを食べるようになった影響で、ビフィズス菌が優勢だった赤ちゃんの腸内環境が、別の菌が優位になっていくからではないかと考えられています。
腸内細菌バランスの変化
江原 母乳を飲んでいる赤ちゃんにはビフィズス菌が多い。そのことが赤ちゃんの健康に役立っていると考えています。森永乳業はこのことに早くから着目して、栄養面に加えて腸内環境からも赤ちゃんの健康をサポートできるよう、ビフィズス菌やオリゴ糖の研究に取り組み、育児用製品に応用してきました。
例えば、より赤ちゃんに適したタイプの独自のビフィズス菌や、ヒトミルクオリゴ糖のように効果的にビフィズス菌を増やす、特別なオリゴ糖の組み合わせを配合して、母乳を飲んでいる赤ちゃんの腸内環境に近づける工夫をしています。
赤ちゃんに健やかに、ご家族に安心して過ごしていただくことが私たちの願いで、それに貢献することがミッションです。
清水 お母さん、お父さんも、なかなか赤ちゃんの腸内環境にまでは気を配っていないかもしれません。でも、ビフィズス菌やオリゴ糖の存在を知り、赤ちゃんの腸内環境をどうしたら整えることができるのか、関心をもってもらいたいと思います。
引用元:
母乳を飲んで、赤ちゃんの腸内環境は良くなる(朝日新聞)