体外受精(IVF)によって得られた受精卵を凍結保存し、それを移植する凍結胚移植によって妊娠した女性では、妊娠高血圧症候群(HDP)のリスクが有意に高い可能性のあることが、ノルウェー科学技術大学(ノルウェー)のSindre Petersen氏らの研究で示された。北欧3カ国(デンマーク、ノルウェー、スウェーデン)の450万件以上の妊娠データの解析から、自然妊娠の女性と比べると、凍結胚移植で妊娠した女性では妊娠中にHDPを発症するリスクが74%高いことが明らかになったという。Petersen氏らは、「生殖補助医療のあり方に大きな変化をもたらす研究結果」と評している。詳細は、「Hypertension」に9月26日掲載された。

 妊娠中の高血圧は、妊娠高血圧腎症のシグナルである場合が少なくない。妊娠高血圧腎症は母親と胎児の両者にとって危険な妊娠合併症の1つだ。米国心臓協会(AHA)によると、米国では妊娠25件当たり約1件で発症すると推定されている。

 この研究は、デンマークで1994〜2014年の間に、また、ノルウェーとスウェーデンで1988〜2015年の間に出産を1回以上経験した20〜44歳の女性237万9,130人の医療データを解析したもの。Petersen氏らは、妊娠高血圧腎症の他に、妊娠高血圧や加重型妊娠高血圧腎症を伴う慢性高血圧、子癇といったHDPに関する医療記録を調べた。解析対象の女性の出産回数は合計で452万3,028件であり、このうち442万6,691件は自然妊娠で、新鮮胚移植による妊娠は7万8,300件、凍結胚移植による妊娠は1万8,037件だった。同氏らは、自然妊娠とIVFによる妊娠の両方を経験した母親の3万3,209件の妊娠データを用いて、HDPリスクの比較も行った。

 その結果、自然妊娠後と比べた凍結胚移植による妊娠後のHDPリスクは、対象者全体で比較した場合には74%(調整オッズ比1.74、95%信頼区間1.61〜1.89)、自然妊娠と凍結胚移植の両方を経験した母親間で比較した場合には約2倍(同2.02、1.72〜2.39)高くなることが明らかになった。これに対して、自然妊娠後と比べた新鮮胚移植による妊娠後のHDPリスクは、対象者全体での比較でも、自然妊娠と新鮮胚移植による妊娠の両方を経験した母親間の比較でも、上昇は認められなかった。

 Petersen氏は、「凍結胚移植は世界中で広がりつつある。この数年、臨床では新鮮胚移植をスキップして、全ての受精卵を凍結保存する“フリーズオール(全胚凍結)”と呼ばれるアプローチを取り入れる医師も出てきている」と説明。その上で、「今回の研究結果は、日常臨床で全ての受精卵を凍結する前に、あらゆるベネフィットと潜在的なリスクについて慎重に検討する必要性を明確に示したものだ」と話し、「医師と患者の間で新鮮胚移植と凍結胚移植のベネフィットとリスクについて、包括的かつ個別化された話し合いを持つことが重要」としている。

 またPetersen氏は、AHAのニュースリリースで、「自然妊娠と凍結胚移植による妊娠の両方を経験した母親間の比較から、親に関連する要因がHDPリスクを高めているわけではなく、凍結胚移植に関連した要因が関与している可能性が示された。凍結胚移植のプロセスのどの部分がHDPリスクに影響を与えている可能性があるのか、今後さらなる研究で調べるべきだ」と述べている。

[2022年9月26日/HealthDayNews]Copyright (c) 2022 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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Petersen SH, et al. Hypertension. 2022 Sep 26. [Epub ahead of print]


引用元:
凍結胚移植が妊娠合併症のリスク上昇に関連(Care Net)