新規診断の進行卵巣癌に対し、オラパリブとベバシズマブによる維持療法は、BRCA変異の有無に関わらず、相同組換え修復欠損(HRD)のある患者の全生存期間(OS)を改善することが、第3相PAOLA-1/ENGOT-ov25試験のOS最終結果で明らかになった。
フランスCentre Leon BERARD/GINECOのIsabelle Ray-Coquard氏らが、9月9日から13日にフランス・パリで開催されている欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2022)で発表した。
PAOLA-1/ENGOT-ov25試験(NCT02477644)の主要解析では、進行卵巣癌に対し、プラチナ系抗癌剤ベースの化学療法+ベバシズマブの1次治療後に維持療法としてベバシズマブにオラパリブを追加することで無増悪生存期間(PFS)が有意に改善したことが報告されている(ハザード比は0.59、95%信頼区間:0.49-0.72、p<0.001)(Ray-Coquard et al.NEJM 2019)(関連記事)。今回は事前に設定された最終のOS解析結果が報告された。
PAOLA-1試験は、新規診断でFIGO Stage III-IVの高グレード漿液性癌、類内膜癌、卵管癌、腹膜癌患者で、プラチナ系抗癌剤とタキサン系抗癌剤による化学療法とベバシズマブの併用療法によって完全奏効または部分奏効が得られた患者、病勢進行の証拠がない患者を対象に行われた。患者はベバシズマブにオラパリブを加えた群(オラパリブ併用群、537人)と標準的な維持療法であるベバシズマブとプラセボを投与した群(プラセボ群、269人)に2対1で無作為に割り付けられた。
オラパリブは300mgが1日2回投与され、ベバシズマブは3週間を1サイクルとして15mg/kgが投与された。オラパリブは最長で24カ月まで、ベバシズマブは15カ月間投与された。患者は1次治療における効果とBRCA変異の状態で層別化された。
試験の主要評価項目はPFS、副次評価項目はランダム化から2回目の増悪または死亡までの期間(PFS2)、OSなどだった。重要な評価項目に関する解析は階層的に実施された。PFSに有意差が認められた場合にPFS2が解析され、PFS2に有意差が認められた場合にOSが解析された。またOSの解析は主要解析から3年後あるいはOSイベントが60%の時点で計画されていた。
HRD陽性患者はオラパリブ+ベバシズマブ群47%、プラセボ+ベバシズマブ群49%、BRCA変異のある患者が29%と30%、BRCA変異のある患者を除くHRD陽性は18%と20%、HRD陰性は36%と32%であった。
観察期間中央値はオラパリブ+ベバシズマブ群61.7カ月、プラセボ+ベバシズマブ群61.9カ月で、OSイベントは55%だった。ITT集団のOS中央値は、オラパリブ+ベバシズマブ群で56.5カ月、プラセボ+ベバシズマブ群で51.6カ月、ハザード比は0.92(95%信頼区間:0.76-1.12)、p=0.4118、5年OS率は47.3%と41.5%だった。
HRD陽性患者では、OSはオラパリブ+ベバシズマブ群で延長し、OS中央値はオラパリブ+ベバシズマブ群で75.2カ月(OSイベントが50%未満)、プラセボ+ベバシズマブ群で57.3カ月、OSハザード比は0.62(95%信頼区間:0.45-0.85)、5年OS率は65.5%と48.4%だった。またアップデートされたHRD陽性患者でのPFSは、中央値が46.8カ月と17.6カ月、ハザード比が0.41(95%信頼区間:0.32-0.54)となった。
BRCA変異を有する患者ではOSハザード比は0.60(95%信頼区間:0.39-0.93)、5年OS率は73.2%と53.8%だった。BRCA変異の患者を除くHRD陽性患者において、OSハザード比は0.71(95%信頼区間:0.45-1.13)、5年OS率は54.7%と44.2%であった。一方、HRD陰性の患者ではオラパリブ+ベバシズマブ群の有効性は認められず、ハザード比は1.19(95%信頼区間:0.88-1.63)だった。
骨髄異形成症候群(MDS)、急性骨髄性白血病(AML)、再生不良性貧血(AA)は、オラパリブ+ベバシズマブ群で9人(1.7%)、プラセボ+ベバシズマブ群6人(2.2%)だった。新たな原発性悪性腫瘍は22人(4.1%)と8人(3.0%)であった。
以上の結果から、対照群では50%の患者が進行後にPARP阻害薬を投与されたにも関わらず、オラパリブのベバシズマブへの追加はHRD陽性患者において臨床的に意味のあるOSの改善を示し、長期観察で新たな安全性の問題はなかったとした。またHRD陽性患者においてオラパリブ+ベバシズマブが標準治療であり、治療選択のためのバイオマーカー検査の重要性が確認されたとしている。
引用元:
新規診断進行卵巣癌でHRD陽性患者にオラパリブとベバシズマブの維持療法はOSを改善(日経メディカル)