望まない妊娠に悩む女性らが病院以外に身元を明かさず出産する「内密出産」を巡り、国が医療機関や自治体の対応方法を初めてまとめたガイドライン(指針)の概要が、関係者への取材で判明した。子供の「出自を知る権利」に応えられるよう、出産を受け入れた医療機関が母親の身元情報を保管することや、生まれた子供の戸籍の作成手順などを盛り込む。国は9月末にも公表する方針。
【写真】熊本・慈恵病院の赤ちゃんポスト
内密出産は国内では法制化されていないが、熊本市の慈恵病院が2019年12月、院内の新生児相談室長にのみ身元を明かすことを条件に、出産を受け入れる制度を独自に導入。22年9月までに熊本県外在住の5人が手続きに沿って出産したと公表されており、うち1人の子供について市が職権で戸籍を作成している。
一方、政府は22年2月の参院予算委員会で、内密出産に「違法性はない」との認識を示して指針を作成する方針を表明し、厚生労働省と法務省で内容を協議してきた。
関係者によると、指針は内密出産について「妊婦が身元情報を医療機関の一部の者のみに明らかにして出産した時」と定義。目的は「母子の生命・健康の確保(のため)」と明記した。
医療機関に対しては、子供が出自を知る権利の重要性を母親に説明し、母親の身元情報を管理した上で、子供への開示時期や方法を整備するよう求める。生まれた子供の戸籍は、親や医師から出生届が提出されなくても、医療機関が児童相談所に出生日と出生地を伝えれば、市区町村長の職権で作成できるとした。
指針の大半は、慈恵病院や熊本市での取り組みを踏襲した格好となった。指針が公表されれば、慈恵病院に限らず全国の医療機関でも同様の対応がとりやすくなることになる。
一方、慈恵病院側は、妊婦や胎児の容体が急変した場合や、妊婦が病院担当者を含めて身元の開示を一切拒否する「匿名出産」などへの対応も国に求めていたが、指針では具体的な内容は盛り込まれない見通し。【栗栖由喜】
引用元:
内密出産、母親の身元情報保管で「出自知る権利」に対応 国が指針(Yahoo!APANニュース)