子育てに直面したときに、巷で耳にする、あんなウワサ、こんな説。それってほんとうに根拠があるの? 

これまで、気になる論文を読んできた、情報理工学博士の山口先生が、世の中にあふれる「子育て説」を科学の面から一刀両断。現在子育てに悩んでいる方、なにかヒントが見つかるかもしれませんよ! 

今回は、「子どもの味覚」​について、お話しします。

味覚はおおよそ10歳までに決まる
子どもの味覚は、小さい頃に決まるといわれています。色々な文献をよむと,だいたい3ヵ月ぐらいから10歳ぐらいの間に決まっていくようです。なるべく薄味で育てたいと思いながら、保育園も含めた食生活は人に頼ることも多いので、どこまでやればよいのかわからないですよね。

今時の保育園はどこもものすごくちゃんとしているようで、食事がその場で手作りなのはもちろんのこと、食材そのものの検証なども精密に行われ、食育につながるようなイベントもあったりして、保護者としてはありがたい一方で、焦る気持ちもありました。

苦労対効果の時にも話しましたが、離乳食を含めた食事管理は手間をかければ無限にかけられ、どこまでやればよいのかとか、考えることがたくさんあります。離乳食の最初は、出汁を薄めに、とか、いろいろ言われるわけですが、喉元すぎれば……で、結局は手間をかけたのが正しかったのか正しくなかったのか、さっぱりわからなかったな、という感想でした。

子どもの味覚は環境に起因する
さて、味覚のおいしい、おいしくないの感覚は、この時期(3ヵ月から10歳くらい)培われた味覚で決まります。この時点で、大豆を中心とした日本食を食べ続けるとそういった食事を好むようになるでしょうし、イタリアではトマトや乳製品をたくさんとったりして、そこの味覚が発達した子どもになるようです。

また、日本人は塩分が高いそうですが、私のエジプト人の友人がなんにでも真っ白になるまで塩をかけて食事をしていることを思い出します。ものすごく暑い地域だから、塩分をとり続けないと体がもたないんだろうな、と感じていましたが、文化の違いを目の当たりにした事柄の一つでした。

WHOの規準では、塩分濃度が0.5%以下になるようにするよう勧告しているようですが、この勧告に反するような国の人も平均寿命を気にしなければ、たくさん大人になっているのであんまりデリケートにしなくても子どもは育つんだろうなぁ、と感じます。

というわけで、食事はあまり考えすぎずに大らかにすすめて、あまり苦労をせずにすすめたいです。保育園がかなりちゃんとしていることも大きいですけど。
インドなど普段から辛いものを食べる地域の方々は、小さい頃に辛いものを食べさせて、辛いと感じるという感覚を壊しているそうですね。辛いものを感じるのは、毒だと判断しやすいようにもともと人間のセンサーが発しているのですが、最近は辛いものが死に直結しないとわかっているので、壊すことに問題が生じないのでしょう。

できるだけ手間のかからないというか、気持ちに負担にならない範囲で努力をしたいところかなぁ、と思います。

今後も、理系の研究者が母親になって感じた日々の疑問について、私なりに調べ、考えた結果を共有していけたらと思っています。

【山口利恵】 5歳の子どもを持つ母親で、博士(情報理工学)。普段は、東京大学大学院情報理工学系研究科ソーシャルICT研究センターの特任准教授として、情報系の研究を推進。また、情報オリンピック日本委員会や国際大学対抗プログラミングコンテストのメンバーとして、中高・大学生の数理情報科学教育の振興にも邁進。趣味はクラシック音楽。

引用元:
子どもの味覚はいつ、どのように決まる?【理系博士の子育て】(Yahoo!ニュース)