第一三共は25日、主力のがん治療薬「エンハーツ」について、乳がん患者の対象を広げる一部変更の承認を申請し、米食品医薬品局(FDA)に受理されたと発表した。通常10カ月かかる審査期間が半年ほどに短くなる優先審査の指定を受け、10〜12月に審査が終わる見通し。米国を含む7か国が同時にがん治療薬を審査する枠組みが適用された。

対象は、がん細胞の目印となるたんぱく質「HER2」の量が少ないタイプの乳がん患者で、化学療法後に転移や再発をした人。HER2の量が少ない「HER2低発現」は乳がん患者の約半数とされるが、承認された治療法はないという。エンハーツはこれまでHER2の量が多い患者らを対象にしてきた。承認されれば乳がん治療の新たな選択肢となり、売上高の増加につながる。6月に日欧でも承認申請をした。

エンハーツは、第一三共が2020年に発売してがん分野に本格参入した主力薬。標的に結合する抗体とがん細胞を攻撃する薬剤を組み合わせた「抗体薬物複合体(ADC)」の技術を使い、薬の効き目を高くする。乳がんや胃がんなどの治療に使われ、がんの種類や治療段階を広げる臨床試験(治験)が進んでいる。

エンハーツの23年3月期の売上収益は、前期比98%増の1599億円を見込む。米国の製品売上高は83%増の831億円を予想する。

引用元:
第一三共、乳がん抗がん剤の対象拡大を申請 米国で(日本経済新聞)