本コラムでは、Googleが提供する学術雑誌のインパクト指標「h5-index」から、各領域10誌を抽出。それを元に世界中で最も多くツイートされた論文を紹介する。

 7月11〜17日に最もツイート数が多かったのは、NEJM誌の論文「Maternal Vaccination and Risk of Hospitalization for Covid-19 among Infants」(妊婦のワクチン接種は生後6カ月未満の乳児をCOVID-19入院から守れるか?)で1582件だった。生後6カ月未満の乳児は、新型コロナワクチンの接種対象になっていない。そこで、ワクチンを接種した母親の抗体が胎盤経由で胎児に移行して、生後6カ月までの乳児の重症化を防ぐ効果があるかどうかを検討したのがこの研究だ。

 試験デザインは検査陰性症例対照研究で、2021年7月1日から2022年3月8日までに、米国の22州にある30病院でCOVID-19で入院した乳児を症例群とし、同時期にCOVID-19以外の原因で入院した乳児を対照群とした。ワクチンの効果は、症例群と対照群の母親が、mRNAワクチンの2回接種を完了していた確率を比較して推定した。なお、米国でデルタ株(B.1.617.2)が優勢だった時期(2021年7月1日〜2021年12月18日)と、オミクロン株(B.1.1.259)が優勢だった時期(2021年12月19日〜2022年3月8日)に分けた比較も行った。

 症例群537人(デルタ株の期間181人とオミクロン株の期間356人)と対照群512人(同216人と296人)を分析対象にした。症例群の母親は16%、対照群の母親は29%が妊娠中にワクチンの2回接種を完了していた。症例群でICU治療が必要になった割合を比較すると、母親がワクチン接種を完了していた乳児では13%、そうでない乳児では23%だった。症例群には死亡した乳児が2人いたが、どちらの母親もワクチン接種を完了していなかった。

 対照群と比較した母親のワクチン接種の有効性は、期間全体では52%(95%信頼区間33-65%)、デルタ株の期間は80%(60-90%)、オミクロン株の期間では38%(8-58%)だった。母親のワクチン接種が妊娠20週以降に行われた場合は69%(50-80%)、妊娠初期の20週の場合は38%(3-60%)と推定された。これらの結果から著者らは、妊娠中の母親のワクチン2回接種完了は、生後6カ月未満の乳児のCOVID-19重症化リスクを減らしていたと結論している。

引用元:
妊婦の抗体は生後6カ月未満の乳児のCOVID-19入院リスクを減らす(日経メディカル)