県は、不妊に悩む夫婦の支援体制を強化する。県や市町村、不妊治療を経験した当事者団体などで情報を共有するネットワークを構築して相談、診療体制を充実させるほか、福島医大生殖医療センターに新たな機器を導入、患者への幅広い治療法の提案につなげる。
県は2019年度から出生率向上に向け、センターの医師やスタッフなどの人員確保を支援し、体制強化を図ってきた。この取り組みにより受診数は7230件(18年度)から1万185件(20年度)に、治療後に出産に至った件数は43件から90件に増加した。不妊治療の保険適用が始まり、相談や受診数が増加する可能性があることから、県全域の相談・診断体制やセンターの機能強化を図る。
県によると、不妊治療の相談は「デリケートな部分が多い」という。長期にわたる治療による負担に加え、職場や家族の理解など相談内容は多岐に及ぶ。さらに、治療や相談体制に地域差があり、事例や個別の相談内容が関係機関に共有されていないことが課題になっている。
このため県は県全域のネットワークの構築により、個人情報に配慮しながら情報共有を促進させ、地域間の格差解消につなげたい考えだ。また、当事者団体による声を自治体や医療機関が取り入れ、有効な施策に反映させる狙いだ。
センターの機能強化では、不妊治療の前段階に当たり、卵子の細胞を取り出して染色体に異常がないかどうかを調べる着床前診断の機器を導入する。がん患者が治療により出産することができなくなる前に卵子の細胞を採取し、培養してがん治療後も出生につなげられる妊孕(にんよう)性温存療法も取り入れる。
ただ、不妊治療の保険適用で生じる懸念もある。適用対象は一般的な人工授精や体外受精に限定され、着床前診断などは対象外となる。これまでは不妊治療全般に対して国や自治体が助成金を交付していたが、助成が廃止され、一部の治療法を除いて患者の自己負担となる。
県は「適用、適用外、養子縁組など、より丁寧に相談に応じる必要があり、相談員の対応力向上にも力を入れる」としている。
引用元:
福島県、不妊相談や診療強化 福島医大に新機器、情報共有化へ(福島民友新聞)