12〜13歳で接種機会があった集団では87%減
子宮頸がんなどの予防目的で接種するHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンの接種対象となった若い世代の女性において、子宮頸がんの発症リスクが最大で87%も減少していることが、英国の研究(*1)で明らかになりました。
接種機会があった女性となかった女性の子宮頸がんリスクを比較
日本でも、HPVワクチンの積極的な接種勧奨が再開されました。HPVワクチンは、世界的には2007年から接種が始まり、ワクチンが標的としている型のHPVの感染を予防する効果と、子宮頸部異形成を予防する効果が示されています。さらに、このワクチンが実際に子宮頸がんの発生率を減らすことを示した研究結果 (関連記事参照) も報告されていますが、その数は多くありませんでした。
今回、英国の研究者たちは、イングランドでHPVワクチンプログラムが開始され、接種機会が与えられた女性たちを追跡し、30歳未満での子宮頸がんおよび子宮頸部高度異形成の発症予防効果を検証することにしました。
英国では、2008年9月1日に2価のHPVワクチンを用いる接種プログラムが開始され、2012年9月1日以降は4価のワクチンに切り替えられています(*2)。今回の分析は2価ワクチンの接種者に限定しました。プログラムは、開始時点で通常の接種対象である12〜13歳だった女性に加えて、14〜18歳の女性にも段階的に接種の機会を提供しました。
比較対象(参照群)にしたのは、接種開始時点で対象年齢をわずかに超えていたために接種を受けられなかった女性(1989年5月1日から1990年8月31日までに生まれた女性)です。これらの女性たちについて、イングランドのがん登録の2006年1月1日から2019年6月30日までの情報を利用して、20歳以上30歳未満の女性の子宮頸がんまたは子宮頸部高度異形成の発生の有無を調べました。
12〜13歳で接種機会があった集団では子宮頸がんが87%減
まず、HPVワクチンの接種状況と、子宮頸がんおよび高度異形成の10万人-年あたりの発生率の関係を調べました。すると、12〜13歳で接種機会を与えられた集団(ワクチン接種率85%)における発生率はそれぞれ0.3、2.0と特に低く、続いて14〜16歳で接種機会があった集団(接種率73%)、16〜18歳で接種機会があった集団(接種率45%)の順番で低くなっていたことがわかりました。
結果に影響を与える可能性のある全ての要因で調整し、各年代の女性の子宮頸がんと高度異形成の発症リスクが、参照群と比較してどれほど低くなっているのかを推定しました。その結果、低年齢で接種を受ける機会があった集団ほどリスク低減が著しいことが分かりました。12〜13歳で接種機会があった集団では、子宮頸がんの発症リスクが87%減少、高度異形成の発症リスクが97%減少しており、14〜16歳で接種機会があった集団でもそれぞれ62%、75%の減少、16〜18歳で接種可能だった集団でも34%、39%の減少が認められました(表1)。
HPVワクチンプログラムの導入以降、特に12〜13歳で大多数が接種を受けた集団において子宮頸がんと高度異形成の発症予防効果が高かったことは、性交渉を持つ前にこのワクチンを接種することの重要性を強調しました。研究者たちは、「HPVワクチンの接種機会が与えられた女性には接種を奨励すべきだ」と述べています。
引用元:
HPVワクチン接種開始後、英国で子宮頸がんが大幅に減少(日経ビジネス電子版)