四月から体外受精などの不妊治療に公的医療保険が適用される。費用負担軽減につながり治療が受けやすくなる。一方、仕事と両立できずに仕事を辞める人が後を絶たない現状もあり、保険適用に合わせ両立を支援する体制の充実が必要だろう。
これまで不妊治療は一部を除き保険適用外の「自由診療」で、人工授精は一回平均約三万円、体外受精は平均約五十万円が患者の自己負担だった。保険が適用されると原則三割負担となる。
晩婚化などを背景に不妊治療を受ける人は増加している。国立社会保障・人口問題研究所の「2015年社会保障・人口問題基本調査」によると、不妊を心配したことのある夫婦は全体の35%、不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦は18%に上る。
厚生労働省が二〇一七(平成二十九)年度に行った調査では、不妊治療をしたことがある労働者の中で、仕事と両立できなかった人は35%を占めた。このうち、仕事を辞めた人は16%、不妊治療をやめた人は11%、雇用形態を変えた人は8%だった。精神面や体力的な負担、通院回数が多く仕事との日程調整が難しかったことを理由に挙げる人が多かった。職場の理解やサポートが得られなかったことや、長時間労働も挙げられた。
少子化対策の観点からも、出産、育児と並び、不妊治療と仕事の両立支援は重要な課題だ。しかし、この調査で不妊治療を行う従業員の支援を行っている企業は全体の30%にとどまっていた。
国は中小企業の事業主を対象に助成金制度を設けるなど支援に力を入れている。「不妊治療を受ける労働者に配慮した措置の実施」を次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画策定指針に追加した。四月からは、子育てサポート企業を認定する「くるみん」などの認定基準改正に併せ、不妊治療と仕事との両立に関する制度も創設する。
福島労働局雇用環境・均等室では労働者、事業主双方からの相談に対応し、両立サポートハンドブックや事業主向けの職場づくりのマニュアルなど冊子の配布も行っている。全国には、不妊治療に特化し最大二年間休職できる制度を設けている企業もある。繰り越し無効となる年次有給休暇を積み立て、病気や子育て、介護に加え不妊治療に充てることもできるようにした例もある。フレックスタイムなど柔軟な働き方も有効だ。
不妊治療に理解を深め、男女を問わず、子どもを授かりたいと願う人に寄り添う姿勢が大切だ。(三神尚子)
引用元:
【不妊治療】仕事との両立支援を(3月22日)(福島民報)