英国Edinburgh大学Usher InstituteのSarah J. Stock氏らは、2021年10月までのスコットランドの妊婦の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染やCOVID-19ワクチンの接種状況と、妊娠関連アウトカムのデータを取りまとめ、パンデミック下で母子の健康を守るためには妊婦のワクチン接種率の低さを是正する必要があると報告した。結果は2022年1月13日のnature medicine誌電子版に掲載された。

 妊婦は一般の女性に比べSARS-CoV-2に感染しやすいわけではない。しかし、感染してCOVID-19を発症すると一般女性よりも重症化するリスクが高く、妊娠関連の合併症として、妊娠高血圧腎症、早産、死産のリスクが上昇することが示唆されている。

 COVID-19ワクチンの臨床試験では妊婦は除外されていたため、接種プログラムを開始した時点で、妊婦にも接種を推奨できるようなエビデンスはなかった。妊婦に対するワクチンの安全性は、臨床試験に参加した時点で妊娠に気づいていなかった女性のデータなどから、徐々に蓄積されていったものだ。スコットランドでは2020年12月8日から、ワクチン接種プログラムを開始したが、妊婦が推奨に加えられたのは2021年4月16日からだった。

 そこで著者らは、スコットランドの疫学研究Early Pandemic Evaluation and Enhanced Surveillance of COVID-19(EAVE II)のサブスタディーとして、妊婦を対象にしたCOVID-19 in Pregnancy in Scotland(COPS)を実施した。この研究では、2020年3月1日以降に妊娠したスコットランドの女性全員をCOPSコホートに組み入れ、SARS-CoV-2感染とワクチン接種状況をリンクして、2021年10月31日までの妊娠関連アウトカムに対する影響を調べている。

 対象期間中に妊娠した女性は13万1751人見つかった(多胎妊娠も含めた妊娠数は14万5424件)。このうち13万875人(14万4548件)が、個人識別番号によるデータの照合が可能だった。10月31日までに妊娠期間が終了していたのは11万7190件で、1万3933件は流産や異所性妊娠で出産に至っていなかった。生児出生は8万183件で、273件は死産だった。2万7358件は10月31日時点で妊娠が継続中だった。

 ワクチン接種状況により、妊婦の状態を3群に分類した。1)未接種者(COVID-19発症時点でワクチン接種歴なし、または初回接種から21日以内に発症)、2)部分接種者(初回接種から21日を超えてから発症、または2回目の接種から14日以内の発症)、3)接種完了者(2回目の接種から14日を超えてから発症)。

 2021年10月31日までに、1万8399件の妊娠に対して延べ2万5917回のワクチン接種が行われていた。内訳は、初回接種が1万2518回(48%)、2回目の接種が1万2194回(47%)、ブースター接種が1205件(5%)だった。接種時期は、妊娠第1期が9905回(38.2%)、第2期は9317回(35.9%)、第3期は6695回(25.8%)行われていた。使用されたワクチンはPfizer/BioNTech社が2万572回分、Moderna社が3224回分、AstraZeneca社が2121回分だった。

引用元:
妊婦のCOVID-19ワクチン接種率を高くする必要性(日経メディカル)