三者の精子や卵子を使った生殖補助医療に関して、日本産科婦人科学会(日産婦)は、提供者の情報を管理する公的機関の設置を近く国に要望する。現在、情報管理は各実施施設に委ねられており、長期保管される保証はない。提供者の情報を公的に管理することで将来的に、生まれた子の「出自を知る権利」を保障する狙いがある。

 日産婦は併せて、法律に基づいたルール作りも要望する。インターネット上で医療機関を介さずに精子・卵子が個人間で取引されるケースが相次いでおり、トラブルになる恐れが出ている。さらに、容姿や学歴で提供者を選ぶなど優生思想と結びつきかねない懸念も指摘されており、一定の規制が必要と判断した。

日産婦関係者によると、公的機関は、政府が2023年4月の発足を目指す「こども家庭庁」に新設する案や、厚生労働省所管の独立行政法人が担う案が想定されている。提供者の氏名や連絡先、疾患などの情報を実施施設から登録させ、100年間の保管を求める。ネット上での精子・卵子の取引禁止や、提供者の学歴などを選べる精子・卵子バンクに一定の規制をかけるルール整備も要望する。

 第三者の精子を使う人工授精(AID)は国内で70年以上の歴史があり、主に日産婦が登録する12医療機関で実施されてきた。これまで推定2万人前後が生まれたとされる。


近年、晩婚化の影響でカップル以外の精子・卵子を使った不妊治療の需要が高まっている。第三者の精子を使った体外受精や顕微授精は国が自粛を求めているが、これらを始めるクリニックも現れ、出産例が増える前に制度やルールの整備が急務となっている。

 日産婦は会員向けの見解でAID実施施設の基準を示しているが、法的拘束力はなく、情報管理の取り決めもない。海外では、生まれた子の出自を知る権利を認める動きが広がっているのに対し、国内では提供者を秘匿するために医療機関が情報を廃棄するケースも報告されている。




 国は20年12月、第三者の精子・卵子を使った場合の親子関係を定める民法の特例法(生殖補助医療法)を成立させたが、出自を知る権利や精子・卵子の売買規制については「2年をめどに法制上の措置を講じる」と付則に盛り込み先送りした


引用元:
精子・卵子提供者の情報「公的機関で管理を」 日産婦が国に要望へ(毎日新聞)