中国広西医科大学のLijun Wang氏らは、生後1年までの乳児死亡率と分娩後の新生児合併症(NICUでの治療)を減らすことを指標として、妊婦の肥満度別に妊娠中の最適な体重増加レベルを調べるために、米国の母子データを利用した後ろ向きコホート研究を行い、生まれた児のリスクを減らすには、肥満女性でも一定の体重増加が望ましいと報告した。結果は2021年12月30日のJAMA Network Open誌電子版に掲載された。

 妊娠中に体重が増えすぎれば、母子ともに妊娠関連アウトカムが悪化する可能性がある。全米医学アカデミーは2009年に、妊娠中の体重増加に関する勧告を出し、肥満女性の場合には一律に5.0〜9.0kgという数値を示していた。2019年にLifeCycle Projectが行ったメタアナリシスでは、肥満度を3段階に分類してそれぞれの推奨値を示した。この研究では一部の肥満女性に対して、減量を勧める場合も含まれている。

 しかし、これまでの主な研究は、早産や過期産、在胎不当過小児、在胎不当過大児などの代替評価項目を用いており、より直接的な乳児死亡率や新生児合併症を評価した研究はほとんどなかった。そこで著者らは、妊娠時点のBMIに基づいて母親を層別化し、階級別に乳児死亡率と新生児合併症のリスクが最も低くなる最適な体重増加レベルを調べるための後ろ向きコホート研究を計画した。

 この研究では、母親の身長と体重が記録されており、生後1年間の乳児死亡率を調べることが可能なバースコホートとして、米国National Center for Health Statistics(NCHS)のデータベースを利用することにした。組み入れ対象は、2011〜15年の全米50州から登録された出生データのうち、単体妊娠で満期産までの事例とした。42週以降の過期産の場合は、感染症など妊娠中の体重増加と必ずしも関係ない乳児死亡が多くなると考えたため除外した。

 母親は妊娠時のBMIによって6グループに分類した。18.5未満の低体重、18.5〜24.9が正常体重、25.0〜29.9が過体重、30.0〜34.9が肥満クラス1、35.0〜39.9が肥満クラス2、40.0以上は肥満クラス3とした。妊娠中の体重増加量は、個々の妊婦の分娩時点の体重から妊娠時点の体重を引き、妊娠期間(週数)で除して40を乗じることにより、妊娠40週時点の増加量に標準化した。妊娠中の体重増加量は、体重減量から30kg増量まで、2.0kg刻みに分類して最適な範囲を評価した。

 主要評価項目は、1)新生児合併症(補助換気、新生児ICU入院、サーファクタント補充療法、抗菌薬治療、痙攣性の発作のいずれか)、2)生後1年間の乳児死亡率(時期により生後1時間未満、1〜23時間、1〜6日、7〜27日、28〜365日に区分した)の2つとした。

引用元:
妊婦の肥満度別に最適な体重増加量を調べる研究(日経メディカル)