台湾台中栄民総医院のJui-Chun Chang氏らは、台湾で第1子を出産した女性の妊娠の経過と服薬状況を調べた後ろ向きのコホート研究を行い、妊娠中のスタチンの使用は先天異常の増加と関連は見られなかったが、早産や出生時低体重のリスクは増加していたため注意が必要だと報告した。結果は2021年12月30日のJAMA Network Open誌電子版に掲載された。
世界的には、妊娠高血圧症候群の予防と治療にスタチンが用いられるようになっているが、妊婦がスタチンを使用した場合の胎児の安全性については懸念が残っていた。lovastatinを用いた基礎研究では、動物モデルの先天異常が報告されている。倫理的な問題から、妊娠中のスタチン使用の危険性を調べる大規模な臨床試験は実施困難なため、ヒトでのデータは症例報告や小規模な研究に限られていた。そこで著者らは、妊娠中にスタチンを使用した女性に先天異常や新生児合併症のリスク増加が見られるかどうかについて検討する、大規模な後ろ向きコホート研究を計画した。
台湾住民の99.9%をカバーする健康保険データベースを利用して、2004年1月1日から2014年12月31日までに第1子を出産した女性144万3657人を選び出した。18歳未満の場合や、多胎妊娠の場合、てんかんがある女性、妊娠中に催奇性を指摘された薬を使用した女性は除外した。条件を満たした137万1356人のうち、脂質異常症と診断され、スタチンの使用経験がある女性は2万2576人いた。しかし、2万2104人は妊娠中に使用を中止していたため、妊娠中も使用を継続していた469人のみをスタチン曝露群とした。対照群はスタチンを使用したことがない女性134万8807人の中から、曝露群1人に10人の割合で、妊娠時の年齢と出産年がマッチする女性を選んだ。
曝露群の女性が使用していた薬は、アトルバスタチンが最も多く132人(28.1%)、ロスバスタチン82人(17.5%)、lovastatin49人(10.4%)、シンバスタチン31人(6.6%)、フルバスタチン25人(5.3%)、プラバスタチン8人(1.7%)などだった。30.3%にはこれら以外が処方されていた。
主要評価項目は生まれた児の先天異常とした。副次評価項目は、出生時体重、在胎期間、早産(37週未満)、低出生体重(2500g未満)、極低出生体重(1500g未満)、胎児仮死、生後1分と5分のアプタースコアに設定した。Poisson回帰モデルを用いて多変量解析し、スタチン非暴露群に対するスタチン曝露群のリスク比を算出した。共変数は、母親の年齢、妊娠前の疾患(高血圧、糖尿病)などを調べた。
曝露群の初産女性469人の平均年齢は32.6歳(標準偏差は5.4歳)、対照群の4690人は平均年齢32.0歳(4.9歳)だった。糖尿病の有病率は41.8%と0.4%、高血圧は25.8%と1.1%で、明らかに曝露群が高かった。在胎週数は曝露群38.4週(標準偏差1.6週)と対照群37.3週(2.4週)で、出生時体重の平均値は3105.62g(444.3g)と3035g(684.1g)だった。
引用元:
妊娠中のスタチン使用は先天異常を増やさない(日経メディカル)