女性の健康に関する意識調査から明らかになった、若者世代と大人世代とのギャップとは?

「SRHR(性と生殖に関する健康と権利)」において日本が“後進国”であることはさまざまなデータで明らかにされているが、どうやらその要因は大人世代のアンコンシャスバイアスにもあるらしい──それを裏付ける驚きのデータが発表された。

「SRHR(Sexual and Reproductive Health and Rights)」の中でもとりわけ避妊、妊娠、中絶といった生殖に関わる選択が諸外国の状況と異なるなか、日本の多くの女性たちが苦しんでいる。

 例えば日本のピルの使用率は、北朝鮮をわずかに上回る程度で世界の中では最低ランク。イギリス、カナダ、スウェーデンでは無償でもらえる緊急避妊薬は、日本では1〜3万円する。子宮頸がんを予防するHPVワクチンの普及率は世界の中でも最低に近く、0.3%程度である。

 私たちが「そういうものなんだ」と思っている女性の健康に関する情報は、世界水準でみると遅れているものがあまりに多い。最近はそういう問題を指摘するアクティビストたちも増えてきたが、しくみを変えるのには残念ながらまだまだ時間がかかりそうだ。その理由のひとつに「SRHR」への関心の低さが影響している。

 2019年10月11日の国際ガールズデーに、国際協力NGOジョイセフが『性と恋愛 2019─日本の若者のSRHR意識調査─』を発表した。18〜29歳の日本の若者1000人を対象としていたが、その結果は衝撃的なものだった。例えば「50.2%の女性が、気が乗らないのにセックスに応じたことがある(2人に1人)」「コンドームは頼まれないとつけない、と答えた男性が20.2%(5人に1人)」という悲しい現実が見えた。

 そして2021年10月11日、新たに『性と恋愛 2021─日本の若者のSRHR意識調査─』が発表された。今回は調査数を大幅に拡大、高校生〜29歳までの若者世代3266人に、その上の30〜64歳の大人世代(2072人)も加え、若者世代と大人世代とのギャップも検証している。

「世代を超えて刷り込まれているステレオタイプな現象と、世代間ギャップを大きく感じる調査項目が複数ありました」とは、この意識調査をまとめたジョイセフデザイン戦略室/I LADY.ディレクターの小野美智代さん。

『気が乗らないのに性交渉に応じた経験のある』女性は
若者世代で2人に1人、
大人世代でその割合が増加
「世代間で違いが出たのは、性交渉に関する項目です。『気が乗らないのに性交渉に応じた経験のある』女性は、若者世代で2人に1人(男性は4人に1人)ですが、大人世代でその割合が増加、女性では63.5%にも上りました。

日本は2002年から性教育が衰退していますが、それでも若い世代には少しずつ、セックスをするためには互いの『性的同意』が必要であることへの理解が広まりつつあります。ですが、大人世代にはその意識が低い。『男は』『女は』という無意識の中にあるバイアスが避妊やセックスについての考え方、性的同意、性的自己決定にも影響していることが調査結果からみえてきました」

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 世代間ギャップが大きく表れたもうひとつの項目は、「緊急避妊薬(アフターピル)」に関する情報だ。若者世代は9割が認知しており、名前だけでなくどんな薬なのかも知っていると回答した割合は、20代以下の男女では68.3%である一方、30代以上では43.1%。ここでも大きな隔たりが見られる。

まだまだ古い価値観に
とらわれている世代の
影響が大きい。
自分の中に性や恋愛に関する
“刷り込み”や“バイアス”が 
ないか、少しでも気づいて

若い世代は必要性を感じているのに、法整備などの決定権がある大人世代に認知が少ないことが、日本で処方せんなしの市販化を進める際のハードルになっていると思わざるを得ない。

「多様性やジェンダー問題に声を上げる人は増えてきましたが、こういう結果を見ると、まだまだ古い価値観にとらわれている世代の影響が大きい。自分の中に性や恋愛に関する“刷り込み”や“バイアス”がないか、少しでも気づいてもらえればと思うのです」


引用元:
避妊、妊娠、中絶……30代以上の大人世代が自覚すべき、「生殖に関する意識」における世代間格差(BAZAAR)