乳がんの早期発見や理解を促す「ピンクリボン」運動。湘南モノレール(神奈川県鎌倉市)は啓発月間(10月)だけでなく、通年で「ピンクリボン号」を走らせ、運動の大切さを伝えている。新型コロナウイルスの影響で啓発イベントが減る中、乳がんで悲しむ人をなくすという夢を乗せて疾走する。(石原真樹)


◆ピンク色のラインに大きなリボン

 ピンクリボン号は、湘南モノレール(大船―湘南江の島)を走行する7編成のうちの1編成。車体の側面に、ピンク色のラインが引かれ、大きなリボンも描かれている。

先月末には、車内の中づり広告に新たなポスターが登場した。ピンク色を基調に女性や展望灯台「江の島シーキャンドル」などをあしらい、「人生に安心を飾る。」のキャッチコピーが目を引く。

 横浜デジタルアーツ専門学校(横浜市港北区)の学生9人が、乳がんを患ったことのある人から話を聞くなど、病気を学んだ上でポスターを制作した。制作者の一人、蝦名えびな竜太郎さん(21)は「寄り添いながら、安心して見てもらえる啓発を目指した」と話す。


◆デビューは2016年

 ピンクリボン号のデビューは2016年5月。同社は、編成ごとに赤や緑など異なる色のラインを車体に入れてきたが、この年に導入した編成の色はピンクだった。同社の花香はなか晋生くにお広報課長が「社会貢献になり外国人客にも伝わりやすい」と欧米でも広まるピンクリボン運動に着目、ピンクリボン号誕生につながった。

 喜んだのが、モノレール沿線にある湘南記念病院の土井卓子たかこ・乳がんセンター長だ。13年に県内の啓発団体「ピンクリボンかながわ」の代表に就任。その後、同社に何度も足を運び、啓発への協力を求めていたが、なかなか色よい返事をもらえていなかった。

 15年、同社の運営母体が三菱重工業(東京)からみちのりホールディングス(同)に代わった。同年、湘南モノレールに転職した花香さんは、土井さんらの働きかけを知らないまま、連携を提案した。土井さんは「『やっと私の思いが通じた!』と喜んだのに、打ち合わせで話がかみ合わなくて。結果的に良かったのですが」と笑う。

 土井さんが通勤中、道路からピンクリボン号に向かって手を振る子どもを見ることもある。コロナ禍で啓発イベントや講演会が開きづらい状況が続く中、「乳がんに関心のない子どもや男性にも知ってもらえる。公共交通機関の協力はありがたい」と意義の大きさをかみしめる。

 「検診に来る8割がリピーター。一度も来たことのない人を呼び込みたい」と土井さん。診察室で「もう少し早く来てくれれば」と悔しく思うことがなくなる日を思い描いている。

引用元:
乳がん啓発月間だけじゃない!湘南モノレール「ピンクリボン号」は通年で疾走中(東京新聞)