子宮頸(けい)がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐHPVワクチンについて、12〜13歳のときに接種した世代は、接種していない世代と比べて、子宮頸がんになるリスクが87%低かったとする研究結果を、英国の研究チームがまとめた。医学誌ランセットに3日、掲載された。

国のデータベースで大規模調査
 HPVには100以上の型があり、子宮頸がんの9割以上は、がんを起こしやすい型のHPVに感染することが原因とされる。イングランドでは2008年から12〜13歳の女性を対象に、がんを起こしやすいHPVの16型と18型の二つの感染を防ぐワクチン(サーバリックス)の接種が始まった。08〜10年には、14〜18歳の女性も接種の対象に加えた。

 研究チームは、国のデータベースを使い、20〜64歳の人を対象に、06年1月から19年6月までの間に子宮頸がんと診断された約2万8千人と、がんの手前の段階(高度異形成)と診断された約32万人を抽出。世代別に分け、がんの罹患(りかん)率を比べ、ワクチンの有効性を算出した。

 その結果、接種していない世代と比べ、12〜13歳で接種した世代は子宮頸がんのリスクが87%低かった。14〜16歳で接種した世代は62%、16〜18歳で接種した世代は34%、それぞれ低かった。研究チームは、ワクチン接種によって将来の子宮頸がんの患者数が減ると予測している。

長期的な評価も検証する必要ある
 性交渉が始まる前の若年者の接種で子宮頸がんのリスクが大幅に減るという結果は、スウェーデンやデンマークでも報告されている。横浜市立大産婦人科の宮城悦子教授は「世界保健機関(WHO)は15歳までに90%の女性がHPVワクチンを受け、子宮頸がん検診と適切な治療により、将来的に子宮頸がんを国あるいは地域ごとに排除する戦略を提唱している。日本でもHPVワクチンの効果と安全性が再評価され、定期接種が正常化し、再び高い接種率となることが望ましい」とする。

 ただ、子宮頸がんが増え始めるのは20代後半とされているが、世界的にワクチンを接種した人のほとんどはまだ20代だ。宮城さんは「引き続き、さらに長期間の効果について検証していく必要がある」と話す。

 日本では接種後に体が痛むなどの多様な症状が報告され、厚生労働省は13年6月、接種を積極的にすすめることをやめた。今年10月、厚労省の部会で、勧奨を再開する方針が確認され、今後、正式に再開時期などが決まる。(後藤一也)

引用元:
若い世代で子宮頸がんリスク減少 英チームがHPVワクチン効果発表(朝日新聞)