東京パラリンピックの新競技、バドミントンの女子ダブルス(下肢障害、上肢障害)で銅メダルを獲得した伊藤則子選手(45)=本社社員、名古屋市=は、4年前に乳がんが判明し、手術を経て自国開催の大舞台へ出場した。「早く見つければ、やりたいことをできる場合もあると伝えたい」と強調し、乳がんの早期発見や検診の大切さを訴える。(吉岡雅幸)

 伊藤選手は生後間もなく右脚が不自由になり、幼い頃から義足で生活する。一度は現役を引退しながら復帰し、バドミントンが初めてパラリンピックの正式競技となる東京大会を目指してきた。出場に向けた戦いが本格化しつつある2017年11月、乳がんが見つかった。

 左胸に違和感を覚え、触ってみると1センチほどのしこりがあるように感じた。韓国で開かれる世界選手権への出場を控える中で病院で検査を受け、初期の乳がんだと分かった。「なぜ今なのだろう」と落胆しつつ「治して頑張ろう」と気持ちを切り替えた。帰国してすぐに部分切除の手術を受けた。

放射線治療と投薬の影響で倦怠感や発熱、腹痛などに見舞われ、半月ほど体を動かすことができなかったが、夫の智幸さん(46)から「大丈夫だから」と励ましも受けて練習を再開した。「一時は諦めかけたが、バドミントンをやりたいから治療も頑張れた。利き腕の右側じゃなくて良かったと思えたのも大きい」と伊藤選手。地道なトレーニングで1年近くかけて少しずつ体調を戻し、目標の東京大会出場をつかんだ。

 心配されたくないからと身近な人以外に病気について明かしていなかったが、メダリストという立場になって「発信できることはしたい」と考えは変わった。

 「かからないのが一番だけど、ちゃんと治療できて良かった。気付くのがもう少し遅れていたら、どうなったか分からない。ある程度の年齢になったら、女性には定期的に検診を受けてもらえたら」。経験したからこそ、心からそう願う。

引用元:
乳がん乗り越えパラリンピックのバドミントン女子「銅」 本社社員の伊藤則子選手、検診の大切さ訴え (東京新聞)