乳がんは台湾における女性の重大悪性腫瘍(がん)のトップを占める。乳房にメスを入れることなく治療ができるハイフナイフ治療(高密度焦点式超音波治療、HIFU)は、近年乳がん治療の新たな選択肢となっている。しかし、この治療法は患者の筋骨や心臓などまで焼灼してしまうリスクが3〜4割に上る。そこで財団法人国家衛生研究院(National Health Research Institutes、NHRI)は、世界で初めて「リング型」の高密度焦点式超音波治療システムを開発した。患部以外を焼灼するリスクを引き下げることが可能なシステムだという。

衛生福利部(日本の厚労省に類似)の統計によると、台湾で乳がんを発症する女性は年間1万人を超え、年間2,000人以上が乳がんによって亡くなっている。1日当たり約39人の女性が乳がんと診断され、6人が命を落としている計算になる。乳がん治療で最もポピュラーなのは外科手術による腫瘍の切除と、放射線治療あるいは化学薬物治療を併用する方法である。近年は、乳房にメスを入れることなく治療ができるハイフナイフ治療がそれに加わり、麻酔手術を行うことにリスクが伴う高齢患者に新たな選択肢を与えている。

しかし、このハイフナイフ治療には無視できない欠点がある。それはつまり、米粒ほどの大きさの、一点に集まった超音波のエネルギーを利用して腫瘍を焼灼するため、3〜5センチメートルの大きさの腫瘍を焼灼するために2時間ほどかかるということだ。治療に時間がかかりすぎることに加え、欧米の資料によると、医師の熟練度によって異なるものの、臨床上では3〜4割の患者に皮膚、胸骨、筋肉、あるいは心肺にまで多少の焼灼が生じるという問題が指摘されている。

国家衛生研究院が13日に発表した新たな技術は、国家衛生研究院生医工程與奈米医学研究所の陳景欣研究員のチームが開発した世界初の「リング型」ハイフナイフ治療システム。輪の中に自然と乳房が入るように患者がうつ伏せの状態になり、超音波を照射する方向や焦点の調整などを行う。この新たなシステムでは、治療の時間を短縮し、胸部の皮膚、筋肉、骨、心臓などを焼灼してしまうリスクを引き下げることができる。ウサギの足を使った動物実験では、5センチメートルの大きさの腫瘍を30分間で焼灼することができたという。

この研究の成果は2018年と2020年に、それぞれ海外の有名なジャーナル「IEEE Transactions on Ultrasonics, Ferroelectrics, and Frequency Control」で発表している。主要技術については、すでに台湾で特許権を取得しており、同時に米国・中国でも特許出願中だ。

国家衛生研究院の梁賡義院長によると、技術移転が可能な民間企業を探しているところで、順調に商品化して臨床研究を行い、衛生福利部食品薬物管理署(=台湾FDA)」の認可を得ることができれば、実際に乳がん患者の治療に使用することができるという。近い将来、さまざまな条件の患者を治療する医師に対し、新たな選択肢を提供できればと期待を寄せている。

引用元:
世界初、国衛院が「リング型」ハイフナイフによる乳がん治療技術を開発(Taiwan Today)