《第6回世界小児消化器肝臓栄養学会議》で発表


雪印ビーンスターク株式会社(本社:東京都新宿区 代表取締役社長:内田 彰彦)は、雪印メグミルク株式会社と共同で2015年より第3回全国母乳調査を実施しています。
今回、母乳のリン脂質組成と母乳中DHA(ドコサヘキサエン酸)濃度に関する研究成果を、2021年6月2日から開催された、第6回世界小児消化器肝臓栄養学会議において学術発表しましたので報告いたします。本発表内容は、同学会のオープンアクセス学術誌である「JPGN REPORTS」に掲載されております(2021年1月27日受理)。なお、本研究はリン脂質の分析に高い実績のあるニュージーランドの公的研究機関Callaghan Innovationとの共同研究により実施しました。
今後も、雪印メグミルクグループでは、収集した母乳の成分と母親の生活習慣や乳幼児の成長・発達との関係を調べてまいります。

本研究のポイント

・母乳に含まれるリン脂質1)にはいくつかの種類があります。多くのリン脂質は、乳児期における脳および消化管の機能発達に有用な栄養成分として知られています。第3回全国母乳調査の初期段階に行った先行研究で、母乳中のDHA濃度が最も高いグループ(高DHA母乳群:総脂肪含量当たりの中央値1.13%)、および最も低いグループ(低DHA母乳群:中央値0.29%)の各群10名ずつ計20名を対象とし、日本人母乳のリン脂質の成分分類(サブクラス)の組成を、リン31核磁気共鳴分光法2)を用いて分析しました。

・測定した15種類のリン脂質サブクラスのうち、ホスファチジルセリン(PS)を含む12種類3)が全ての母乳より検出され、現代の日本人母乳のリン脂質組成を把握することが出来ました。

・母乳中のDHA濃度の違いによりリン脂質サブクラスの組成が異なり、母乳中DHA濃度が高いグループでは、コリン含有グリセロリン脂質4)の割合が高いことが示されました。DHAは乳児期初期の認知機能の発達にとって重要な脂肪酸です。母乳中のコリン含有グリセロリン脂質の割合がDHA濃度と関連があるということは、コリン含有グリセロリン脂質がDHAと連携して脳機能の発達に影響している可能性なども考えられ、今後の研究が期待されます。

1) 構成成分の違いによりグリセロリン脂質とスフィンゴリン脂質の2種類に分かれる。グリセロリン脂質はグリセリンを骨格として、脂肪酸2個とリン酸が結合し、リン酸にはコリンやセリンなどがエステル結合している。n-3系脂肪酸であるDHAもグリセロリン脂質を構成する脂肪酸の一つとなっている。スフィンゴリン脂質はスフィンゴシンを骨格とし、脂肪酸がアミド結合したセラミドにリン酸と塩基がエステル結合している。

2) 少量の試料中のリンを含有する化合物を非破壊的に測定する分析手法であり、リンを含有する化合物を分離・同定・定量することが可能である。リン脂質は、同一サブクラス内でも結合する脂肪酸鎖の違いなどにより多様な化合物で構成されるが、本法は分子を構成するリン原子の数に基づき定量するため、個々の化合物の標準試料を使用しなくても定量可能になるという特長がある。

3) スフィンゴミエリン(SM)、ジヒドロSM、ホスファチジルコリン(PC)、リゾPC、アルキルアシルPC、コリンプラズマローゲン、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、リゾPE、エタノールアミンプラズマローゲン、ホスファチジン酸


引用元:
第3回全国母乳調査 日本人母乳のリン脂質組成と母乳中DHA濃度の関係について発表しました (FNNプライムオンライン)