新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、他の病気を患う人たちは不安を抱えながら日々を過ごしている。県内の乳がん患者でつくる会「あけぼの岐阜」も、悩みを打ち明け合う交流会がしばらく開催できていない。コロナの影響で患者にとって必要な手術が延期になるなど不安が尽きない中、お乳にちなむ伝説がある寺院、吉祥寺(きちじょうじ)(岐阜市太郎丸)が患者の祈りの場の一つになっている。住職の妻、志比(しひ)貴美子さん(56)は「患者さんの希望の場所になれたら」とほほ笑む。(長屋文太)

 弁財天像がまつられたほこらには、天井から乳房をかたどった布製の「乳(ちち)絵馬」がぶら下がる。「乳弁天」として地元で親しまれ、「もう再発しませんように」「乳がんになった経験を誰かのために生かせますように」などといった願いが絵馬の裏に書かれている。

 乳弁天の由来は、明治時代にさかのぼる。当時の住職の妻「たつ」は子どもを授からず、養子を迎えた。「母乳が出ますように」。弁財天に毎日祈ると、願いがかなったそうだ。志比さんも「私も不妊治療でやっと子どもを授かった」という一人。女性ならではの悩みに共感し、十年前に乳絵馬を作った。

引用元:
乳がん患者の「希望の場」に 「乳弁天」がある岐阜・吉祥寺 (中日新聞)