3度目の緊急事態宣言が延長されたのに続き、対象となる地域も拡大され、まだまだストレスフルな日常が続く。そうした中で育児と向き合う母親たちも、様々な悩みを抱えているようだ。自分が思い描いていた育児と、現実の育児はどう違うのか。フリーライターの吉田みく氏が、コロナ禍での育児に悩む2人の母親に話を聞いた。

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 新型コロナウイルス感染症と向き合う日々に、誰もが疲弊している状況だ。その中でも、子育て世代からの「SOS」の声が大きくなってきたように感じる。実際にコロナ禍の育児に悩むママたちのリアルな声を聞いてみよう。

 都内在住の紳士服メーカー勤務、山田文子さん(仮名・34歳)は、会社の業績不振がきっかけで余裕がなくなり、我が子につらく当たってしまったことを後悔していた。40歳の夫と、2歳の息子の3人家族である。

「コロナがきっかけで在宅勤務をする人が増え、スーツの売れ行きが落ちました。外出自粛の影響もあり、店舗に足を運んでくれるお客様も減少……。そんな状況にもかかわらず、上層部から『売り上げが良くない』と叱責されるんです。ボーナスもだいぶ減り、ローンの支払いにも影響しています」(山田さん)

 仕事面で余裕がなくなってきている山田さんは、イヤイヤ期真っ盛りの息子に対し、怒鳴ったり、時には手を上げそうになったこともあったそうだ。コロナ前は穏やかに接することが出来ていただけに、今の自分の精神状態にも嫌気がさしているという。

「外出自粛要請が出ていることもあり、休日も自宅で過ごしています。近所の公園で遊んでいるのをママ友に見られると気まずいので……。外遊びが大好きな息子はだいぶストレスが溜まっているようで、物を投げることが増えたように感じます。子育て相談に足を運ぼうとしましたが、緊急事態宣言発令中のため予約が延期に。踏んだり蹴ったりですよ……」(山田さん)

 最近は苦手意識があって利用してこなかったSNSにチャレンジし、ネット上で繋がったママ友に悩みや不安を共有。少しでも今の状況を脱却したいと、山田さんは頑張っていた。
都内在住の専業主婦、和田葵さん(仮名・32歳)は、コロナ禍の育児の難しさに悩んでいた。夫と0歳の娘の3人家族である。

「コロナ禍での初めての育児……、想像以上に大変でした。新規感染者数が増えていた地域に住んでいたこともあり里帰り出産を控えたのですが、近くには頼れる人がおらず、産後うつのような症状にも悩まされました」(和田さん)

 楽しく育児をすることが出来ないと嘆く和田さん。夫とは育児を巡って口論になることが増え、相談したり手伝いを頼んだりするのが難しくなっているという。外出してリフレッシュしようと計画したが、感染拡大中の変異株は子供でも重症化する可能性があるとの情報を耳にしたため、結局、控えたそうだ。

「娘が生まれてから外出したのは必要最低限の用事だけ。コロナが落ち着いたら行きたいと思っていた児童館にも行けていません。オシャレなママでいたいと思っていた時期もありましたが、髪の毛はボサボサだし、もうどうでもいいやって……」(和田さん)

 和田さんの悩みは尽きず、最近は外出自粛をすることで我が子の社会性が失われるのではないかと心配していた。コロナ後の子供の将来に関わるため、不安を解消するために、感染症対策をした上で外出することを検討中だそうだ。

 コロナ禍での育児は想像以上に大変であることが、当事者たちの声から伝わってきた。一人で悩みを抱えるのではなく、SNSで同じような境遇のママ友を探したりするのも一つの手かもしれない。電話やオンライン形式での子育て相談を実施している地域もあるので、確認してみてほしい。1日でも早い収束を願うばかりである。

引用元:
「自分も子供もストレスMAX」コロナ禍の育児に追い詰められるママたちの悲鳴(マネーポスト)