神戸市は2021年度、「地域周産期母子医療センター」に対する独自の支援制度を設ける。市内では、北神エリアの急性期医療を担う済生会兵庫県病院(同市北区藤原台中町5)が唯一指定されているが、少子化による分娩(ぶんべん)件数の減少などで周産期医療部門の収支が悪化。「地域医療に関わる問題」として、てこ入れを図ることを決めた。

 同病院は01年に兵庫県から「地域周産期−」に指定された。NICU(新生児集中治療室)9床、MFICU(母体・胎児集中治療室)6床などを備え、常勤の医師16人や看護師48人などが24時間体制でハイリスク妊産婦やハイリスク新生児を受け入れている。

 市南部では、県立こども病院、市立医療センター中央市民病院、神戸大医学部付属病院(いずれも神戸市中央区)の3病院が、よりハイリスクな妊産婦や新生児に対応する「総合周産期母子医療センター」に指定されているが、「地域周産期−」は済生会兵庫県病院だけ。北神・三田エリアの周産期医療の中核を担う。

 ただ、センターの機能維持は、人員配置の面などで病院側の負担が大きい一方で、少子化の影響から、同病院の分娩数は近年、減少傾向にある。

 同病院は昨年12月、三田市民病院との急性期医療の連携について話し合う会議の中で「当院単独で、将来的に地域の基幹病院として急性期医療を維持・継続していくことは困難」と報告。少子化による周産期医療部門の収支の悪化など、経営状況も懸念材料の一つに挙げた。

 済生会兵庫県病院は「人口が急増する北神エリアの急性期医療を担ってほしい」とする神戸市の要望を受けて、30年前に同市中央区から移転してきた経緯がある。支援策を検討してきた市は、2021年度の当初予算に約1億1千万円を計上。市地域医療課は「北神エリアの周産期医療だけでなく、急性期医療や地域医療にも関わってくる問題」とする。(長谷部崇)


【周産期母子医療センター】出産前後のハイリスクな妊産婦や新生児に対し、高度で専門的な医療を24時間体制で提供する病院。より高度な「総合周産期母子医療センター」と、それに次ぐ「地域周産期母子医療センター」があり、兵庫県は各6病院を指定している。


引用元:
神戸市、周産期医療を支援 少子化で収支悪化 済生会(神戸新聞NEXT)