新型コロナウイルスの感染拡大に伴う影響が広がりをみせていた昨年5〜7月の人工妊娠中絶の件数が前年同時期に比べて約2割減少していたことが、厚生労働省の研究班による調査で判明した。研究班は「妊娠自体が減った可能性が高い」と分析している。

 調査は、日本産婦人科医会の安達知子常務理事らの研究班で実施。全国192の医療機関を対象に、昨年1〜9月の人工妊娠中絶件数を調べた。

 調査結果によると、いずれの月も中絶件数は前年を下回り、平均減少率は12・8%。過去の調査から推定した年間減少率(2・7%)を大きく割り込んだ。特に5月以降の減少幅が大きく、前年比で5月は20・9%減▽6月18・1%減▽7月20・1%減――だった。国による調査でも、1〜9月の妊娠届の件数は前年比4・9%減少し、特に5月は17・6%減と減り幅が大きかった。

 また研究班では、中絶を選択した背景について約2000人を対象とした調査を実施。新型コロナの影響があったと回答したのは全体の7・7%だった。中絶の理由(複数回答)を尋ねたところ、パートナーや自身の収入減、失業中など経済的な理由が上位を占めた。

 今回の結果を踏まえ、研究班は「中絶の選択に対してコロナの影響は少ないものの、経済的な理由を挙げる割合が高かった。今後、妊娠、子育てへの手厚い経済的支援が必要」などとしている。


引用元:
コロナ拡大の20年5〜7月、中絶2割減 妊娠自体が減ったか(au Webポータル)