千葉市稲毛区の漫画家夢野かつきさん(45)が、自らの乳がん闘病体験をつづったコミックエッセー「乳癌日記 胸の小さな痛みから始まった乳癌闘病記」を出版した。闘病の日々を明るく描き、乳がん患者が治療中に役立つ情報も盛り込んだ。 (鈴木みのり)
夢野さんががんを告知されたのは二〇一五年十一月の四十歳の誕生日。当時を「死を目の前に突きつけられた気がした」と振り返る。
治療開始後は父親の死を経験し、抗がん剤の副作用に苦しんだ。それでも、「死ぬ前にやりたいことをやり、周囲に元気なところを見せたい」と、外出する機会を増やし、映画や音楽祭、乗馬体験を楽しんだ。
エッセーを描き始めたのは一六年春から。手術後に腕などが腫れる「リンパ浮腫」を知ったのがきっかけだった。漫画を描き続けられるか主治医に聞くため、乳がんが見つかった時の様子を描いた漫画を見せに行った。主治医に「続きが読みたい」と言われ、本格的に執筆を始めたという。
エッセーでは治療の日々を笑いを交えて描く。胸が全摘出される前は「ダイエットになる」と喜んだという話も「本当です」。主治医で千葉大学病院ブレストセンターの榊原淳太助教が監修しており、乳がん患者に向けた医学的な知識も盛り込まれている。
治療中もパートの仕事を続けており、エッセー執筆は息抜きになったという。描いたものを会員制交流サイト(SNS)に投稿したり、同人誌の即売会に持ち込んだりしていたところ、編集者の目に留まり、昨年九月に出版された。実際に手に取った乳がん患者から、「乳がんがどんな病気かが分かり、不安が和らいだ」との声が上がっているという。
現在、症状は落ち着いている。エッセー出版を機に、日本対がん協会のホームページ上で漫画でがんについて解説するなど、活動の幅は広がった。
「がんは、人生のつらいことの一つでしかない」と夢野さん。闘病中の患者に向けては「エッセーを通して治療の全体像を知り、治ればまた元気に生活できると感じてもらえたら」と話した。
引用元:
漫画でつづる乳がん治療 稲毛区の夢野さんがコミックエッセー 読んだ患者「不安が和らいだ」 (東京新聞)