30人に1人から9人に1人へ……。高まる乳がんリスク

乳がん検診、行ってますか?
2003年には30人に1人だった罹患リスクが、今や9人に1人の女性が乳がんになるとされるほど、急速に日本女性の罹患リスクが高まっています。

40歳以上は2年に一度マンモグラフィによる無料検診を受けることができます……が、乳がん検診率は47.4%にとどまっています。(国立がん研究センター調べ)

ただ、マンモで辛い思いをした方も多いでしょう。私も数年前にはじめて検診を受けた時には、「そこまで薄くするかね!?」というほどせんべい状にうすーーく押しつぶされ、心身共にボロボロになって帰宅した記憶があります。

そんな「検診の大切さをわかっちゃあいるけど腰が引ける」という方にオススメしたいのが、新しい乳がん検診「ドゥイブス・サーチ(MRI乳がん検診)」です。そのメリットはというと……じゃじゃん!

痛くない!
服脱がない!
被曝しない!
注射しない!
高濃度乳房でもOK!
豊胸手術・乳房再建術を受けていてもOK!
がん発見率が高い!

痛いのを我慢するのがもはや当たり前になっていたマンモグラフィですが、ドゥイブス・サーチはまったく痛くありません。検査は服を着たまま行うため、人前でおっぱいを丸出しにするストレスもなく、触られることもありません。
さらに、磁石と電波を使って画像を取得するMRIなので、被曝もゼロ。そして極めつきは、がん発見の容易さです。下の写真のように、マンモグラフィでは見分けのつきにくいがんが次々に発見されているとのこと。この点については、筆者の検診結果と共に後ほど詳しくお伝えします。


ちなみに、ちょっと変わったネーミングの「ドゥイブス(DWIBS)」とは、画像診断法「Diffusion-weighted Whole-body Imaging with Background body signal Suppression」の頭文字を取ったものだそう。

とことん女性側に立ってくれているドゥイブス・サーチ。今回、特別にドゥイブス法の開発者である高原太郎先生に案内していただき、体験検診をしてきましたよ〜。

乳房をぶらーんとさせて検診

ドゥイブス・サーチで乳がん検診を受けられる病院は現在、全国で25箇所(3月31日時点)。今後導入される病院は増えていく予定なので、まずは公式ホームページから一番行きやすい施設を探してみてください。

私は自宅から最も近く、3月からサービスを開始したばかりの武蔵野徳洲会病院にお伺いしました。

受付をした後は問診票に記入し、放射線技師の方と問診内容の確認をします。私の場合、体内に避妊リング(ミレーナ)を入れていること、矯正器具装着中、大腸がん罹患歴ありと、報告しておきたいことがいくつかありましたが、これらはすべて検診には差し支えなしとのことでした。
他に気をつけておきたい点は、タトゥーや心臓ペースメーカーの有無など、とのこと。いずれにしても検診前に注意点は丁寧に確認してもらえますので、ご安心を。

問診が終わったら検査着に着替えて、早速ドゥイブス・サーチでの検診がはじまります。

ドラマなどでも見る、身体ごと入るかたちのMRI装置の中にうつ伏せ状態で入っていきます。この時、台に乗っかって入っていくのですが、乳房が押しつぶされることなくぶらーんと自然に垂れ下がるよう、台がくり抜かれています。

エステサロンやマッサージ店などで顔の部分だけ「こんにちは」するあの台の“おっぱいバージョン”をイメージしていただければ正解です。

台に乗る際は検査着で乳房が引っ張られたりしないようにだけ注意しながら、“おっぱいホール”へ自分の胸をパコッとはめます。全然、難しくありません。はっきり言って、そっとうつ伏せになるだけです。
この時もずっと服は着たままなので、恥ずかしさもナッシング。正しい体勢ができたら、大きな作動音から耳を守るヘッドフォンを装着し、装置の中へIN!

……したのですが、中に入った途端、としまえんの筒型ウォータースライダーで感じた閉塞感が蘇り、閉所への不安が……。結局、関係者の方に検診中ずっと手を握っていただく、という体たらくでした。トホホ。

とはいえ、自分のような閉所恐怖症の方もおられるかと思います。問診票でも聞かれることではありますが、不安になったら技師さんにとことん、その気持ちを伝えください。私もヘッドフォンからのBGMのボリュームを調整してもらったり、頻繁に声をかけてもらうなど、不安を取り除くような配慮をたくさんしていただきました。ビビリですみません……!

15分間、ただうつ伏せで寝ているだけで検診は終了。
そういう意味でも、とっても忙しい日やジムなどでへとへとになった後に検診に行けば身体を休める時間にもなり、不安も軽減されるのではないかと思いました。

「たぶん、がんではないと思うけど……」

今回は特別に、その場で私の診断画像を見た高原先生に所見をお聞きすると、意外な言葉が返ってきました。

「ほら、たくさん黒いポツポツがあるのが見えるよね。これは結節といって、良性のしこりだと思うんだけど、けっこう量がある。これから悪性にならないともわからないから経過観察はしないとね」

肉眼でしっかりと黒い点が確認できることで、自分の乳房のどこにしこりが存在しているか、はっきりとわかります。

しかもドゥイブス・サーチでは3Dで乳房の状態がしっかりと撮影されるので、素人目にも「どこに」「どれくらいの」しこりがあるかが直感的に感じ取れるのです(注:実際にもらえる結果レポートに3D映像はつきませんが、写真が同封されます)
“高濃度乳房”はがんが発見しにくい?


「小泉さん(筆者)は乳腺も多いから、マンモグラフィは向かないかもしれないですね。というのもマンモグラフィは、乳腺の多い“高濃度乳房”が白く写ってしまうため、その陰にがんが隠れてしまい、病気が発見しにくいんです。たとえるなら、雪山で白うさぎを探すようなものです」

高原先生によると、日本人の半分以上は高濃度乳房(デンスブレスト)で、基本的に30代までは皆、高濃度乳房なんだとか。

さらに、高濃度乳房の方がマンモグラフィで検診を受けた場合のがん発見率は、半分ぐらいになるというデータがあるそうです。しかも、自治体が行っている2年に一度の無料検診では、自分が高濃度乳房かどうかすら告知してもらえないことが多いとのこと(自治体の判断による)。
つまり、無料検診では女性自身が自分の乳房の状態を知ることすらできないのが現状なのです。それって、こ、怖すぎませんか……?

親切・丁寧。不安に寄り添ってくれる結果レポートが本当にすごかった……!

30代の筆者は高原先生の言う通り高濃度乳房だった上、乳房の中にはしこりがたくさん存在していた。そんな己のおっぱいコンディションを知った後では到底、マンモグラフィだけではまったく安心できないです……。

「そんな方こそ、高濃度乳房でもがんが発見しやすいドゥイブス・サーチを一年に一回、受けていただくことをおすすめしたいんです。
加えて、小泉さんは問診表に、『右脇にしこりを感じる。生理前は痛い』と書かれていましたね。ドゥイブス・サーチではこういった不安や疑問に対して、検診結果のレポートでお返事を書いています。今日のところの所見では、しこりはありますが問題ありませんでした、ということになりますが、通常の検診でこういった対応はなされていません」

取材後、我が家に配送されたレポートを見てびっくりしました。あまりに素晴らしかったので、そのまま掲載させていただきます……!

【所見】拡散強調画像(DWIBS法)の全体像(図 1)(図 2)において、両側乳房には小さな結節が散見されます。
(中略)
これはがんではなく、良性の病理学的変化と思われ、現時点では特に心配は要りません。
「右わきにしこり(副乳?)」とのことですが、画像上は特に問題となるものはないようです。このためこの点については安心してよいと思われます。
乳腺は豊富で、マンモグラフィーを撮影した場合、デンスブレスト(高濃度乳房)になると思われます。 筆者は大腸がん罹患歴があるため、胃や子宮など、まめにいろんな臓器の検査もしています。もちろん乳がん検診も一年に一回は自費でエコー(超音波)を受けていたのですが、どんな検診であれ、結果の手紙は大抵、「異常なしor要再検査」のどちらかに○が書いてあるだけ。でも本当は、「この辺が痛いんだよな」とか、「繰り返し同じところにエコー当ててるけど、技師さん、そこ、なんかあるのですか……?(汗)」と、いつも何かしら不安でした。
それに対して、「あなたのココとココに怪しげなものがあるけど、大丈夫だからね」と、お医者さんに指差し確認してもらえることの安心感たるや……。レポートを何度も読み返し、思わず拝んでしまいました。

ちなみに、筆者のようにマンモグラフィではなくエコー検診を受けている方も多いかと思いますが、エコーは技師のスキルによって検査精度にバラつきがでやすいのだそう。加えて、胸を露出しないといけませんし(ゼリーを塗るからスースー寒い……)、何度もグリグリと乳房を押されるので、人によっては痛みを感じる場合もあります。
月1700円のサブスクで乳がん検診

そんないい事づくしのドゥイブス・サーチの検診料は、一回2万円前後(保険適用外)。無料検診に比べるとインパクトのある値段かもしれませんが、高原先生はこう言います。

「皆さん、NetflixやAppleMusicでサブスクやっていますよね。香水やバッグのサブスクをやっている方もいますけど、乳がん検診も月1700円のサブスクだと思えばそんなに高額じゃないはず。まずは一度ドゥイブス・サーチを受けて、自分の乳房の状態を知っていただくことが大切だと思います」

筆者自身、ドゥイブス・サーチを受けたことで日頃から自分の乳房に関心をよせる「ブレスト・アウェアネス」の重要性を身を持って体感できました。

働き盛りや子育て中の30代後半〜50代での罹患率が高いことから、本人のみならず、家族や社会に与えるショックが大きい乳がん。しかしその一方で、早期発見できれば9割以上が治る病気でもあり、職場復帰も容易だと高原先生は語っていました。

痛みなし・見られることなし・被曝なし・注射なし・死角なしと、いい事づくしのドゥイブス・サーチ。豊胸手術、乳房再建をされている方も受けられるので、ぜひ一度ホームページから近くの実施病院をチェックしてみてくださいね。

取材・文/小泉なつみ
撮影/二瓶 彩

引用元:
“おっぱいブーラブラ”でもう痛くない!新しい乳がん検診に感動したその理由とは?(mi-mollet)