赤ちゃんのときはおっぱいを飲まなかったり、ちょっと大きくなると食べ散らかしたり、偏食したり……。月齢が変わるとともに、食事で困ることも変わって、さあ大変。どうしたら食事タイムが楽しくなるでしょうか。アエラムック「AERA with Baby 解決!子育ての基本の悩み」の記事を紹介します。

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 身体を作る源となる食事。授乳にはじまる赤ちゃんの食事は成長と共に段階的に変化します。人間の三大欲求の一つである食欲。離乳食や幼児食が始まると、偏食やマナーも気になるところです。

「まずは、楽しく食べられるだけで◎です」

 そう話すのは、育児番組のコメンテーターとしても活躍中の井桁容子先生です。あまりマナーを厳しく言って、食事の時間がイヤになるよりも、食事が楽しいと思えることが大事だと言います。

「全部食事を食べるまで席に座らせるのは小さい頃は難しいです。マナーを覚えるのはもう少し大きくなってからで大丈夫です」

 とはいえ、“ながら食べ”はよくありません。食事の時は食事に集中できるよう、おもちゃなどが目に入らないように環境を整えておくことも大切です。

「食べないということは、おなかがすいていないということですから、椅子から立ってどこかへ行ってしまうようなら、『じゃあ、片付けるね』と言って、食事を下げてしまいます。本人が『まだ食べる』という意思を示したら、座って食べるように促してあげますが、そうでなければ、ダラダラ食べにならないようけじめをつけたほうが、次においしく食べることにつながります」(井桁先生)

 また、手で食事をぐちゃぐちゃにしてしまうことも、発達段階で大事なことなのだとか。

「あまりおなかがすいていない(食べたくない)ことが考えられますが、どのくらいの力で握ったら、どんな風になるのかな?と試している場合や、ぐにゅっとした感触を楽しんでいることもあります。子どもは体験から学ぶので、これも大事なことなのです」(同)

しかし、食べ物で遊んでもいいというわけではありません。

「ぐにゅっとする感覚は、粘土でも味わえますから、『それは粘土遊びでしようね』と話しながら止めてください」(同)

 食事マナーもさることながら、好き嫌いの激しい偏食も気になるところです。偏食が身体に与える影響はないのでしょうか? この問いに答えてくれたのは、医師の渡部基信先生です。

「離乳食のうちからいろいろな味に親しむのは大切ですが、もっと大事なのは毎日同じ時間に食事を取ることです」

 いろいろな物を食べさせようと離乳食作りに凝って、食事時間が遅くなるくらいなら、市販の離乳食を使いながらでも、同じ時間に食事をあげて、生活のリズムを整えることが乳児期には大切です。

「市販品で罪悪感があるなら、少しアレンジを加えればいいし、嫌いな食べ物は味付けを工夫するなどしていれば、だんだんと食べられるようになります」(渡部先生)

 離乳食の前のミルクを飲む段階で抱えてしまう悩みもあります。赤ちゃんが生まれれば、自然に出ると思っていた母乳も、人によっては出が悪いことも。おっぱいマッサージをするなど、いろいろと頑張っても出ない時にはミルクと併用し、赤ちゃんが栄養を取れるようにしてあげることも大切です。

「母乳が出ないと“私はダメな母親だ”と自分を責める人がいますが、そんなことはありません。粉ミルクで育てたからといって、愛情が足りないとかいうことはありません」(同)

 ところが、ミルクにしてみようと思っても、なかなかミルクを飲まない子もいます。

「母乳とミルクでは温度の違いや味の違いなど、いろいろな違いがあります。初めて飲む赤ちゃんにとっては未知の食べ物です。また、哺乳瓶につける乳首の形状に違和感を覚えていることもあります。諦めずに違和感を取り除く方法を考えてみてください」(同)

 たとえば、ミルクを冷ます時間を長くして、もう少し温度を下げてから与えるなどです。また、哺乳瓶の乳首を変えてみるのもいいようです。

「最近は、各メーカーからいろいろな物がでていますから、赤ちゃんの好みの物があると思います」(同)

 また、母親がミルクをあげると飲まないのに、父親や、保育園の先生があげると飲む場合もあるようです。保育現場で多くの赤ちゃんを見てきた井桁先生はこう説明します。

「赤ちゃんは五感が大人より優れていると言われています。いろいろな違いに気づいています。いつもおっぱいをくれている母親が別のものを与えようとすると“なんでおっぱいじゃないの?”と、普段と違うことを警戒し、拒否することも。無理強いせずに、嫌がったらやめるようにして続けていけば、“こういうこともある”と受け止めてくれるようになります」

(フリーランス記者・宮本さおり)

※アエラムック「AERA with Baby 解決!子育ての基本の悩み」より

引用元:
赤ちゃんの偏食が気になる親たちへ 好き嫌い克服より大事なのは「同じ時間に食事」〈AERA〉(Yahoo!ニュース)