【ママ&パパのはじめて離乳食vol.2】離乳食っていつから始めればいいの?作り方がわからない。食べてくれない…そんなお悩みを解決すべく、自身でも離乳食ブランドを手がける平澤朋子さんにあれこれ聞いてみました。第2回目は、「離乳食が始まる前に知っておきたいこと」です。

一般的に、生後半年ごろからスタートする離乳食。わからないことが多く不安になっている方も多いかもしれませんが、今回は、私が離乳食が始まる前に知っておきたいと思ったことをお伝えします。

大まかな離乳食の流れは?
5〜6ヶ月頃
日本では、トロトロのペースト状にした10倍粥を小さじ1あげ、母乳やミルク以外の固形物を飲み込む練習から始まります。毎日繰り返し食べさせ、少しずつ慣れてきたら、今度はお野菜のペースト。甘い人参やカボチャは赤ちゃんも大好きです。

7〜8ヶ月頃
1日2回、舌を動かしてモグモグ食べるような練習になります。絹ごし豆腐くらいのかたさを小さじ3〜5くらいの量が目安です。

9〜11ヶ月頃
1日3回、舌を左右に動かして歯茎で潰して食べる練習に移行します。完熟バナナくらいのかたさのものを、大さじ5〜6くらいを食べさせてあげます。

12ヶ月(1歳)頃
1日3回+補食が目安量になり、柔らかめの肉団子くらいの食材を、唇を上下左右に動かして咀嚼できるようになる練習になっていきます。

だいたいこんな感じの流れですが、赤ちゃんには個人差も大きく、絶対にこの通りに進めなければいけないことはありません。

ぜひ赤ちゃんの口の動きをよ〜く見て、飲み込むのが苦手そうならペースト状に戻してあげたり、たくさん食べるようなら少し増やすなど、あくまでも目安として進めてくださいね。

味覚の発達と食の好みは開拓できる!
私たちの舌の表面には味蕾(みらい)という器官があり、ここで味をキャッチすると味覚神経を介して脳に信号が繰られて味を感知します。実は味蕾は赤ちゃんがまだお腹の中にいる、妊娠7週目頃から形成され、生後3ヶ月くらいまで増え続けてピークとなります。

味蕾は刺激物などですり減ってしまうため、30〜40代頃には子ども時代の約1/3まで減少してしまうそう。なので、大人が食べて薄味と感じるものでも、赤ちゃんはしっかり味を感じ取っているんです。

味覚には「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「旨味」の5種類の基本味があり、「甘味」は体に必要なエネルギー源の存在を知らせるようにできています。母乳やミルクは甘く、赤ちゃんもゴクゴクおいしそうに飲みますよね。

「塩味」はミネラル分の存在、「旨味」は体を作るたんぱく質の存在を知らせるもので、生きていくうえで不可欠な栄養素で本能的に好きな味です。

「酸味」は腐っているものの存在や「苦味」は毒物の存在を知らせる役割もあるので、本能的に苦手な味です。

味覚は、離乳食初期の経験によって決まると言われています。将来の健康のためにも良い食習慣を確立させるには、離乳期がとっても大切なのです。

好き嫌いがでてきたらどうしたら?
人間には新しいものに対して怖いと感じる自己防衛能力=「新奇恐怖」が備わっていて、それは子どもの方が強い傾向にあるんです。なので“食べたことのない味や食べなれない味”に対しては、非常に警戒します。

その反対に“見慣れたもの、食べなれたもの”は「好き!」に変化して、味覚がどんどん発達していくんです。

月齢が上がるにつれて意思や嗜好が出てきて、新しいものを受け入れにくくなる傾向があるので、いろいろな食材を受け入れてくれる黄金期=「離乳期」にさまざまな食材を経験させることで、好き嫌いをなくすことができるのですね。

ヘルシーな食べ物を与え続ければ、子どもはその味を好むようになります。甘みや塩味をあまり与えなければ、その後も薄味を好む傾向があるということです。

赤ちゃんが離乳食をイヤそうにしても、「嫌いかも?」と決めつけず、繰り返し8〜10回はあげ続けることが好き嫌いをなくす方法です。うちの娘も食べたり食べなかったりしていたにんじんを、毎日根気よくあげ続けたら、大好きになりました。

食べないからといってあげるのをやめたり、甘みや塩味を足すのは、好き嫌いを増やすだけでなく、正常な味覚の育成や、健全な心身、脳の発達を損ねる可能性もあるので気をつけたいですね。

「出汁の味」は40代以降に生きてくる!?
日本人の味覚に欠かせない「旨味」は、濃い味に走るのを防いでくれます。特に、ていねいにとった出汁の味を舌にすり込んでおくと、途中で食生活が乱れてしまっても、40代以降にはまた出汁を生かした健康的な食生活に戻ると言われています。

五感の中でも最も原始的と言われる嗅覚(におい)は、味覚よりも鮮明に記憶に残るので、なるべく天然の素材からとった出汁を使用するのが理想です。とはいえ手間は省きたいので、そこで私は水出しをオススメしています。前日の夜に、水と昆布、鰹節やいりこを入れておくだけで、旨味のある出汁が作れます。すごく簡単なのでぜひ取り入れてみてくださいね。

赤ちゃんも進んで摂りたい「発酵食品」
腸内環境を整えることは健康の維持に欠かせませんよね。離乳期でも食べられ発酵食品をぜひ取り入れてみてください。

お腹の中では無菌状態の赤ちゃんの腸ですが、生まれた直後からいろいろな菌が取り込まれて増殖していきます。その後、母乳やミルクを飲むことで生後3〜4日目からビフィズス菌が優勢になり、離乳食を食べ始めると、ビフィズス菌が減って他の菌類が増え、ほぼ大人と同じ菌のバランスになっていきます。

腸内細菌バランスも3歳くらいまでに確立するので、離乳期に善玉菌がよく働けるような腸内環境を作っておけば、その後の健康にも影響するんだとか。ただし、いろいろな菌がいることが大切なので、悪玉菌もなくてはなりません。除菌のし過ぎには注意したいところです。

日本の代表的な発酵食品は、味噌やしょうゆ、鰹節、塩こうじ、納豆、梅干し、米麹甘酒などなど…。離乳食後期になったら味が濃くなりすぎないように取り入れたい食品です。中でも塩こうじは我が家の食卓に欠かせない発酵調味料の一つ。自宅で作ったり、私が手がけている離乳食ブランド『bebemeshi』でも塩分を極力減らした子ども用塩こうじを開発したほどです。

食材選びで気をつけたいポイントは?
子どもを持つと気になる方も多いかと思いますが、毎日の食生活で避けて通れないのが添加物。現代社会において添加物や農薬などを全て排除するのは難しいと思いますが、まだ未熟で成長途中の子どもが食べるものは、できるだけ避けた方が良いと思っています。

離乳食の食材選びで習慣にしたい3つのポイント
1. 価格だけで選ばない
2. 原材料名は必ず見る。原材料がなるべく少ないものを選ぶ
3.できるだけ無添加・無農薬・有機など、安心できる食品・食材を選ぶ

あまり気を遣いすぎて疲れてしまっては本末転倒ですが、頭の片隅にでも入っていると、ポイントで「こっちの方がベター」という具合に意識することができます。

身体を作る大事な食のスタート「離乳食」。知ってて良かったと思ってもらえたら嬉しく思います。

平澤朋子
Bb4fbf51d15d0ea6b0888356b45f151a 食育アドバイザー。ライター歴23年、ビューティー&ファッションを中心に女性誌やWebマガジン等に執筆。2014年に女児を出産し、自身の経験から「本当に自分の子どもに食べさせたいかどうか」を基準としたこだわりの無添加離乳食「bebemeshi」を企画・開発する会社を2016年に設立。食育アドバイザーの資格を取得し、子どもの「食」の大切さを広める活動も行なっている。旅と食とお酒を愛する一児の母。
『bebemeshi』の公式サイト
Instagram『bebemeshi』

引用元:
いよいよ離乳食スタート!始める前に知っていて良かったことって?(毎日新聞)