新型コロナウイルス禍の中、産婦人科クリニック「ミオ・ファティリティ・クリニック」(鳥取県米子市車尾南2丁目)の臨床心理士・永井里香さん(30)が妊婦らの心のケアに奮闘している。新型コロナで行動制限を余儀なくされ、孤立感から産後うつになるリスクは高まっており、患者の悩みに寄り添う一方、産婦人科の常勤臨床心理士が少ない現状を憂い、必要性を訴える。

 2020年10月、永井さんが当たった産後ケア。県内在住の30代女性は「子どもや自分の感染を避けようと必死。気軽に出歩けないです」と不安を口にした。初産だった女性は、ケアを終え「育児への不安を丁寧に聞いてもらい心が楽になった」と安堵の表情を浮かべたという。

 クリニックでは、出産や治療でメンタルを崩しやすい患者を支えようと常勤1人を配置。県内のクリニックでは珍しく、不妊治療や産後の患者を中心に年間70人超の患者をケアする。

 同年4月、緊急事態宣言を受けて立ち会いやお見舞いを中止したクリニックは、点が高いほどうつ傾向とされる産後うつチェックで、初産の患者の平均点が新型コロナ流行前の3.8点(2019年)から、20年に5.3点に上昇。永井さんは「わずか1.5点差かもしれないが、家族と会えない環境から孤立感が強まった」と指摘する。

 産後うつは、ホルモンバランスの崩れや育児への不安から起こる。心理的ケアのニーズが高まる一方、産婦人科に常勤する臨床心理士は全国的にも少ない。

 一般社団法人日本臨床心理士会が17年度に行ったウェブ調査でも回答者約1000人のうち約40人しか産婦人科での勤務経験がなかった。永井さんは「ケアを適切に行えば治るもの。多くのお母さんを守るため産婦人科での臨床心理士が浸透してほしい」と願った。


引用元:
妊婦の心のケア重要 臨床心理士、リスク高まり訴え(山陰中央新報)