超音波検査の進歩により、胎児の段階で病気を見つけ、生後すぐに治療につなげるケースが増えています。中でも、胎児の病気を診断する目的で行われるのが「胎児超音波検査」です。命に関わる病気が分かれば手術などが可能な病院で出産することになるため、事前の準備をするうえで重要な検査です。(大沢奈穂)

血流もカラーで
 妊婦の超音波検査には、通常超音波検査と、胎児超音波検査の2種類があります。いずれも「超音波断層法」の機器を使いますが、目的が異なります。

 通常超音波検査は、胎児の発育状態や羊水の量などを調べますが、胎児超音波検査では病気や障害につながる形態異常を確認します。必要に応じて、血液の流れをカラーで表示する「カラードプラ法」や、立体的に表示する「3次元超音波」などの方法も使います。

 妊婦健診では、通常超音波検査だけ行い、胎児超音波検査は別の機会に実施することが多いです。慶応大教授の田中守さん(周産期医学)は「デジタル処理技術の進歩で、断層法の画質が良くなっています。カラードプラ法では血液の流れも細かくチェックできるので、病気の発見に役立っています」と説明します。

 何らかの病気や障害のある新生児は100人のうち3〜5人といわれます。中には、命に関わるケースがあります。胎児の時に異常が見つかれば、命を救える可能性が高い病気の一つに、横隔膜ヘルニアがあります。横隔膜に穴が開いているため、胃や腸などの臓器が肺を圧迫する病気です。治療をしなければ、生まれた後に呼吸障害で亡くなるリスクがあります。

 日本小児外科学会の集計によると、超音波検査により出生前に横隔膜ヘルニアが分かる割合は1998年が40%(73件)でした。集計方法が変更されており単純比較はできないのですが、2018年には71%(120件)に増えています。また、出生後に分かったケースも含めた死亡率をみると、1998年は25%。2018年は5%に低下しています。
施設により助成も
 埼玉県越谷市の堀瞳さん(40)は、長男の智貴ちゃん(4)の妊娠後期に、横隔膜ヘルニアが分かりました。智貴ちゃんは治療体制が整っている埼玉医大総合医療センターで生まれた後、横隔膜の修復手術を受けました。今は後遺症もなく元気に過ごしています。

 堀さんは「出産前に分かっていなかったら、亡くなっていたかもしれません。見つけてもらえて本当に良かった」と話しています。

 検査には自治体の助成が受けられるケースもありますが、全額自己負担になる施設もあります。同センター客員教授の馬場一憲さん(胎児医学)は「通院する施設で、胎児超音波検査もしているかどうか確認することが大切です。検査を実施していない場合は、近隣の施設を紹介してもらえるか相談してください」とアドバイスしています。

 紹介してもらえない場合は、インターネットなどで、「胎児超音波外来」を探す方法もあります。または、日本超音波医学会が認定する超音波指導医や超音波専門医のいる施設の一覧を検索し、問い合わせてみてください。

引用元:
胎児の段階で病気を発見、生後すぐ治療し救命へ…「胎児超音波検査」とは?(yomiDr)