卵子や精子提供、代理出産など生殖補助医療に関する包括的な法律が「必要」と考えている人が71%に上ることが岡山大が実施した調査で分かった。生まれた子が提供者の情報を得る「出自を知る権利」を認めるべきだと考えるのは65%に上ったという。

与野党は第三者が提供した卵子や精子を使って生まれた子どもの親子関係を明確にする民法の特例法案を議員立法で共同提出、20日に参院を通過した。ただ、調査では親子関係にとどまらず、さまざまな手法を夫婦以外のカップルに認めるかどうかも含む、生殖補助医療全体の在り方を定めた法律を求める意見が多数を占めた。

岡山大の中塚幹也教授は「『まだ法律が無かったのか』と感じた人が多いと思う。子どもの法的な地位を安定させる法案は重要だが、子どもの背景は多様になっており、事実婚や同性パートナー、こうしたカップルの子どもの位置付けなども議論する必要がある」と指摘する。

調査は2019年6〜9月に実施。全国の約7千人に質問紙を送り、914人から回答があった。生殖補助医療に関する法律は「作る必要がある」が71%、「他の法律の範囲で規定すれば良い」が10%だった。

卵子、精子提供による出産にはそれぞれ70%、71%が肯定的で、提供者は「第三者と血縁者のどちらでも良い」がいずれも半数近くとなった。支払う費用は卵子、精子提供ともに「実費のみ」が72%で、謝礼金があっても良いと答えたのは少数だった。

生まれた子どもが希望すれば卵子や精子の提供者を知らせることには65%が肯定的な回答をし、16年に実施した調査より15ポイントほど増えた。

LGBTなど性的少数者が子どもを持つことにも大半が前向きな回答をした。レズビアンカップルが精子提供を受けて出産したり、ゲイカップルが卵子提供を受けて代理母に出産を依頼したりするなど、第三者が関わる生殖補助医療の利用には半数以上が肯定的だった。

引用元:
生殖医療法「必要」7割 岡山大が意識調査(日本経済新聞)