スウェーデンのカロリンスカ研究所は10〜30歳の女性が子宮頸(けい)がんを予防するワクチンの接種を受けると、がんを発症するリスクが63%減少するとの研究結果をまとめた。大規模な調査でワクチンのがん予防効果が改めて裏付けされた。

同国は2006年に子宮頸がんなどを引き起こすヒトパピローマウイルス(HPV)のワクチンを承認し、07年から13〜17歳を対象に接種の助成を始めた。12年から13〜18歳は無料で接種が受けられるようにし、10〜12歳は学校での接種も始めた。

研究チームは06〜17年の間に10〜30歳だった約167万人の女性を調べた。ワクチンを一度でも接種した約53万人と、接種しなかった約115万人について、がんの発症リスクを比べた。

ワクチンを接種しなかった人は10万人あたり94人が子宮頸がんを発症したのに対し、接種を受けた人は同47人だった。年齢分布などを考慮したところ、10〜30歳の間にワクチンを接種した人は発症リスクが63%減少していた。年齢別では10〜16歳では88%、17〜30歳では53%それぞれ減っていた。

HPVワクチンは子宮頸がんの前段階である前がん病変を予防できるとされ、がんの予防効果はあるとされてきた。ただ子宮頸がんは数年から10年以上かけて病状が進むため、ワクチンの予防効果が明確な結果として出るのに時間がかかっていた。

日本ではHPVワクチンは13年4月から定期接種の対象だったが、副反応が疑われる症状があるとの報告があり、同年6月から接種の積極勧奨が中止されている。

研究チームは研究結果を米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに発表した。


引用元:
子宮頸がんワクチン 発症リスク約6割減、スウェーデン(日本経済新聞)