自然界ではミツバチに様々な恩恵を受けている。受粉をすることにより植物の成長を助け、ミツバチの受粉した草は動物たちの餌となる。蜂蜜は人間にとって天然の薬となる。
 そんなミツバチに更なる効果があることが判明した。西オーストラリア大学の研究グループによると、ミツバチの毒は、乳がんを治療する「超強力」な治療薬として有望なのだそうだ。
・ミツバチの毒に乳がんを抑制する効果が
 植物の受粉を助ける「セイヨウミツバチ」(学名 Apis mellifera)は、農業にとって欠かせない存在であるだけでなく、ハチミツ、プロポリス、ローヤルゼリーといった素晴らしい恵みをももたらしてくれる。
 刺されるとチクリと痛いのが玉にキズだが、ハチ毒の主成分は「メリチン」。アミノ酸が26個つながったペプチドで、毒の乾燥重量の半分を占めている。
 これまでハチ毒もメリチンも、悪性黒色腫、非小細胞肺がん、グリア芽腫、白血病、卵巣がん、頸部がん、膵臓がんといったさまざまな腫瘍に対して、治療効果や成長・転移抑制効果があることが示されてきた。
 乳がんに対する抗がん作用も研究されてきたが、今回の研究では、特にメリチンが乳がんを抑制するメカニズムが明らかになった点が重要であるという。

・予後の悪い乳がんに超強力な抗がん作用をもたらす
 乳がんにはホルモン受容体の有無、HER2(糖タンパク質の1種)の有無によっていくつかサブタイプがある。
 研究グループによると、メリチンは長期的には治療に対して耐性をもってしまう「HER2陽性」の乳がんや、特に予後が悪いとされる「トリプルネガティブ」の乳がんに対して強力な治療効果があるという。
 60分以内にがんの細胞膜を完全に破壊することができ、素晴らしいことに健康な細胞にはほとんど傷がつかない。選択的かつ速やかに乳がん細胞を死滅させるその威力は、研究者が「超強力」と評価するほどだ。

特に重要な発見は、メリチンを投与して20分もすると、がん細胞が増殖するために利用している主要なシグナル経路を阻害するようになることだ。この作用のために、がん細胞の成長が抑制される。
 トリプルネガティブの予後が悪いのは、がん細胞に治療の標的となるホルモン受容体もHER2もなく、治療薬が限られてしまうことに加えて、増殖能力の高いものが多いことが理由だ。
 しかし、メリチンのシグナル経路阻害作用のおかげで、トリプルネガティブに対しても強力な治療効果を発揮することができる。
・合成メリチンと既存の薬で更なる治療効果を期待
 研究グループはすでにメリチンを合成することに成功しており、それが天然のものと同じように乳がん細胞を殺してくれることも確認されている。
 またその主な作用の1つは、がんの細胞膜に穴をあけることなので、これによって既存の薬剤が細胞内に進入しやすいようにして、さらに治療効果を高められないか研究が進められているところだ。
 マウスを使った実験では、ドセタキセル(抗がん剤の1種)と併用することで、悪性度が高いタイプの乳がん細胞にきわめて効果的であることが判明しているそうだ。
この研究は『Nature Precision Oncology』(9月1日付)に掲載された。
References:abc/ newatlas/ written by hiroching / edited by parumo

引用元:
ミツバチが女性を救う。毒に含まれる物質が乳がん細胞を破壊することが判明 オーストラリア研究 (BIGLOBEニュース)