予期せぬ妊娠をした母親が匿名で出産し、子どもは後に出自を知ることができる「内密出産」の受け入れを表明した慈恵病院(熊本市西区)に対し、熊本市は24日、「法令に抵触する可能性を否定することは困難」として、内密出産の実施を控えるよう通知した。

 慈恵病院が想定する内密出産の内容や手続きなどについて、市は法務省と厚生労働省に現行法上の取り扱いを照会。24日に会見した市によると、7月27日付で両省から回答があった。

 市によると、厚生労働省は「内密出産が法令に直ちに違反するものではない」と回答。そのうえで、子どもの出自を知る権利や児童福祉法を踏まえ、内密出産が行われる場合には「内密出産を希望する実親に対し、出自を知る権利について説明を行い、子どもへの身元情報の開示の意義を伝えること」などについて、熊本市が行政指導することが必要との考えを示した。

一方、内密出産の具体的な手続きなどを示して照会した法務省は「仮定の事実に基づく照会への回答は困難」とし、具体的な回答は示されなかった。

 市は両省からの回答を踏まえ、「内密出産が現行法上適法といえるのか明確になったとは言いがたく、法令に抵触する可能性を否定することは困難」として、内密出産の実施を控えるよう、大西一史市長名の通知で慈恵病院に要請した。


引用元:
内密出産は「法令に抵触する可能性」 熊本市が自粛要請(朝日新聞デジタル版)