夏休みは、子どもの性に関するトラブルが増える時期でもある。熊本県内で中高生向けの性教育講話を20年以上続けている産婦人科医の片渕美和子さん(65)=熊本市=に、10代に伝えたいことを聞いた。(聞き手・豊田宏美)
世間では「中高生の予期せぬ妊娠」という言い方をよくしますが、本当に予期しないことでしょうか。中高生の6〜7割が「お互いに納得していればセックスしてもいい」と考えているという統計もあります。どう納得し、その結果起きることをどう解決するのか、その覚悟はあるのでしょうか。
性教育の講話を始めたのは、夏休み明けに妊娠や性感染症で来院する高校生を目の当たりにしたからです。思春期に人恋しくなったり、性に関心が出てくるのは当然のことです。性教育はピルやコンドームの説明だけではなく、「好きな人と一緒に生きたい」と思う中高生が、これからどう生きるかを自分で考える機会にしてほしいと思っています。
全国的に15歳未満の出産が毎年40人ほど報告されています。県内でも2017年度は、15歳未満の人工妊娠中絶が7人(20歳未満は248人)ありました。不規則でも月経のある女性は、セックスをすれば妊娠する可能性があります。
赤ちゃんを産んで、2人で育てる覚悟も準備もできないのであれば、妊娠を避ける努力が必要です。セックスをしないという選択をしてほしいですが、避妊の方法は、コンドームや緊急避妊薬(アフターピル)を含めいくつかあります。アフターピルはオンライン診療でも処方できますが、早く飲めばそれだけ効果が高いので、すぐに病院を受診してください。
私は、人工妊娠中絶は女性が自分自身を守るための最終手段と考えています。妊娠も性感染症も自分だけで起こることではありません。身近な大人からレイプ被害を受けることもあります。レイプによる妊娠や性感染症は犯罪の結果ですし、避けられなかった妊娠や性感染症は解決しなければなりません。
彼氏や彼女など付き合っている相手と、対等に話ができていますか? 社会の中でつくられた男性像や女性像に縛られてはいませんか? 問題が起きて自分たちで解決できないのであれば、信頼できる大人に相談してください。県内にも「ゆあさいどくまもと」(熊本市中央区)などの相談機関があります。そして大人は、子どもの声に耳を傾け、一緒に考え、信頼される存在であってほしいと思います。
■性感染症にも注意
性行為は妊娠に加え性感染症のリスクも伴う。片渕美和子医師は、若年層に特に注意してほしい性感染症として性器クラミジア感染症、淋菌[りんきん]感染症、梅毒を挙げる。
県健康危機管理課によると、2019年の15〜19歳の県内患者数は、性器クラミジア感染症が69人、淋菌感染症6人、梅毒4人だった。性器クラミジア感染症は女性の場合、急激な腹痛(骨盤腹膜炎や肝周囲炎)が起き救急搬送されるケースも。淋菌感染症は男性に多く、排尿時に強い痛みが出る。梅毒は感染部位にしこりができたり、股の付け根のリンパ節が腫れたりする。
片渕さんは「性感染症は治療薬があるので、体の異変や感染の不安がある場合は早く検査と治療を受けてほしい」と言う。県内の各保健所では無料・匿名で検査を受けることができるが、新型コロナの影響で休止の可能性もあるので事前に問い合わせを。
引用元:
妊娠、自分で解決できますか 中高生の性 信頼できる大人に相談を 熊本市の産婦人科医・片渕美和子さんに聞く(熊本日日新聞)